『天国大魔境』キャラ別ファクトチェック(ネタバレ警告)23/04/29vers

※完全にネタバレ記事なのでまだきちんと『天国大魔境』を読んでいない方はまず読んでから再訪してください。

 

石黒正数の『天国大魔境』(月刊アフタヌーン連載。2018年1月~)がいよいよ佳境に迫ってきた様相。アニメも始まりました! 個人的には宮崎駿の漫画版『風の谷のナウシカ』以来のディストピアSF大作のようにも感じるし、テーマ的にも共通するところが多々あるように思う。伏線があまりにも張り巡らされているところもとても似ているし、場合によってはまだまだ続いていくことになるのかもしれない。

いずれにしても、物語があまりにも錯綜しているので自分の理解のためにも主要登場人物に則して出来事を整理してみました。

前回から新しく加筆した項目には◎印がついています。ただし、前回の更新からまだ日が浅いため前回加筆した項目の※印はそのままにしてあります。

 

◎※キルコ

ミクラさんから託されたマルを「天国」へ連れて行くためボディガードを務めている。ミクラさんからはさらに光線銃「キル光線」(「スーパービーム」や「デス光線」とも呼ばれる)も護身用に託されている(7話/トマト天国)。

日本は「大災害」後、基本的に国家や社会の機能やインフラが崩壊したため、ふたりは食べ物や日用品を民家などで漁りながら旅している(2話/マル)。また、漁った本やCDなどを市場で売っている(13話/タラオ①)。

キルコは便利屋でもあることから「人食い」退治を請け負ったりもしているが、マルと組むことで「人食い」を確実に殺せるようになっている。マルと出会ってからはマルが「人食い」を「ヒルコ」と呼んでいることを知る(4話/ヒルコ①・5話/ヒルコ②)。

おそらくマルはミクラさんから「ヒルコ」と教えられている。

マルと出会うまでキルコは人食いを仮死状態にできただけで、確実に殺せたと実感できたことはなかった(14話/タラオ②)。

キルコは実は脳移植手術を受けていて、脳は弟の竹早春希のもので、身体は春希の姉、竹早桐子のものだ。春希は大災害の年には3歳、桐子は5歳だった。浅草の船山孤児院で育った春希は浅草の自警団の見習いをしていて、桐子は浅草で開催される電動カートレースの人気ドライバーだった。ある時、レース中のコースに人食いを発見した春希はこれを退散させようとするが、あえなく人食いに捕捉され、食べられ始めてしまう。これを目撃した桐子はカートで人食いに体当たりして、この衝撃に人食いは春希を口から落として退散する。その後、意識が戻った時、春希は桐子の身体の中で生きていた。診療所の看護婦たちは通常の手術をしただけだと理解しているが、執刀したのは自警団にも出入りしていた「先生」で、春希の脳を桐子の頭蓋骨に移す脳移植手術を施していた。「先生」はその手術後、浅草を去っていた。春希は下半身を人食いに食べられ、そのまま診療所で死亡したと理解されている。回復後、キルコは自警団を仕切っていたロビンがおそらく殺害され、船山孤児院は解散し、「先生」も行方をくらましたことを知らされる。その後、キルコは旅行や移動時のボディガード業を中心とする便利屋稼業を始め、中野に本拠地を移していたところ、ミクラさんからの依頼を受けることになった(8話/竹早桐子・9話/竹早春希・10話/クク①)。

こうした身体的な理由のため、キルコは通常に話している時は20歳ということになっているが(桐子の年齢。大災害時には5歳)、思い出や記憶の話をし始めると17歳になってしまう(春希の年齢。6話/タカ)。

その後、マルと「天国」への旅を続けながら、ロビンや先生の行方も探しているが、不滅教団でロビンが宇佐美の下で働いていたことを知る(21話/不滅教団④)。

さらに「天国」の関連施設を探すため訪れた茨城では、高原学園の遺伝子組換え植物の栽培工場を再利用して成功したロビンに再会する。しかし、ロビンに監禁され強姦されることになり、さらに再会した時のロビンの恐怖に近い驚愕の表情にも不可解さを覚える。やがてマルに救出されると、(春希にとって)憧れの人物だったロビンとの決別を決意し、高原学園のもうひとつの重要施設がある奈良に向かう。なお、ロビンとの話から、自分に手術を施した浅草の先生は「迫田」という名前だったことを知る(32話・稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③)。

キルコに手術を施した「先生」は猿渡(迫田)照彦で猿渡は現在では奈良の復興省の近くで「迫田医院」を運営していた。竹塚(ミチカ)とマルの果し合いの後、医院を訪れたキルコは猿渡にどうして自分の移植手術を行ったのかと問い詰めると、猿渡は桐子の頭はすでに拳銃で撃ち抜かれていて、春希の脳を桐子の身体に移すしかなにかしらの救いようはなかったと説明する。つまり、春希が意識を失ってから桐子は誰かしらに銃撃されていて、その痕跡は確かにキルコの頭部にも残っていることにキルコは気付く。その一方猿渡は大災害後の人食い(ヒルコ)の生体実験については関わっていないとも説明した(53話/迫田照彦)。

奈良復興省施設の近辺でマルが竹塚(ミチカ)との果し合いを繰り返した後、マルは3日間死んだように寝込んでしまうが、目が覚めるとすっかり元気になっていて、そのままキルコとマルは復興省施設に向かっている巨大ヒルコ、アンジュラス退治に出かける。その途上で猿渡に再会し、マルの母親はトキオといってマルには双子の兄弟のヤマトがいることを教えてもらう。しかし、トキオとヤマトは奈良復興省に住んでいたものの、10年前に姿を消したという(54話/アンジェラス①)。

 

◎※マル

大災害と同じ年に生まれた。最も古い記憶は3歳か4歳の頃。同じ年頃の子供たちと集団生活をしていて面倒を看てくれる大人もいっぱいいた。7歳くらいの頃にそこが解散しそれぞれに大人に連れられて離散。マルは身寄りのない子供たちとともに別な集団に属して資源漁りなどをして過ごす。その後集団間の競合で自分の集団のボスが殺されるとより大きな自警団に吸収された。そこへミクラさんが来て引き取られた。マルはヒルコを殺すやり方をミクラさんから教わる。「マルタッチ」ができるのはミクラさんの話ではマルだけで、だからこそ「天国」に行かなければいけないと言われていた(14話/タラオ②)。

また、マルはミクラさんから自分と同じ顔をした人物がもうひとりいるからその人物をみつけて薬を打てと薬を装填した注射器を託されている(7話/トマト天国)。

マルは異常な身体能力を誇っていて、喧嘩や格闘になったら常人では太刀打ちできないし、高所から飛び降りても特にダメージも受けない(13話/タラオ①・27話/壁の町③・16話/100%安全水)。

その異常な身体能力はマルが通常の人間ではないことをほのめかしている。

折られた永久歯もまた生えてきてしまう特異体質である(23話/アスラ)。

キルコと辿り着いた復興省の奈良施設で、茨城の復興省からマルとキルコの捜索依頼を受けていた竹塚(ミチカ)に発見されてしまう。マルをヒルコだと感じ取った竹塚はマルに襲い掛かり、ふたりの格闘が始まる(50話/ミチカ②)。

しかし、竹塚の間合いに手も足も出なかったマルは翌日、ヒルコである竹塚の気配から居場所を突き止め、再対決を仕掛け、「ヒルコ」という名称を前日口にした竹塚がミクラさんについてなにか知っているはずだと踏んで、勝負に勝ったらミクラさんについて教えろと強要し、ふたりの果し合いが始まる。ふたりは互角で死闘を繰り広げ、力尽きる(51話/ミチカ③・52話/ミチカ④)。

その後、3日間寝込んでしまうが、目が覚めるとすっかり回復していて、キルコと奈良復興省に向かっている巨大ヒルコ、アンジェラス退治に出かける。その途上で猿渡(迫田)にヤマトくんではないかと声をかけられる。猿渡は、マルの母親はトキオといってマルにそっくりで、マルには双子の兄弟のヤマトがいることを教える。しかし、トキオはマルの存在を知らないとも説明する。また、トキオとヤマトは奈良復興省に住んでいたものの、10年ほど前に姿を消したという(54話/アンジェラス①)。

キルコのことが好きで何度も告白している(7話/トマト天国・34話/稲崎露敏③)。

 

◎ヤマト

マルと同じ顔を持つと言われているトキオとコナの子。トキオの出産後にマルとヤマトのいずれかが猿渡と青島が作ったクローンだが、どちらがクローンでどちらが本当の子供かはまだ明らかになっていない。ただ、マルは猿渡がマジックで足の裏に〇印をつけられた方の赤ん坊で大災害後に奈良施設から連れ出されている。

キルコとマルは巨大ヒルコのアンジュラス退治に向かう途中、猿渡(迫田)照彦に出くわし、マルがあまりにもトキオに似ているため、ヤマトくんかと尋ねられ、その後、トキオとヤマトのことを教えられる。10年ほど前まで奈良復興省に住んでいたが、姿を消したという。また、猿渡はマルとヤマトが双子だったが、トキオはマルの存在を知らないと説明する(54話/アンジュラス①)。

 

稲崎露敏(ロビン)

キルコと同じ浅草の船山孤児院出身の兄貴的存在。竹早春希から竹早桐子への脳移植手術の後、孤児院も閉鎖され、ロビンは連続失踪事件の調査中に殺されたということになっている。しかし、キルコはマルと「天国」への旅をしながらロビンの探索も続けていて、その後、不滅教団の宇佐美の下でロビンが働いていたが、その後また姿を消したことがわかってくる(21話/不滅教団④)。

キルコとマルは依頼されて訪れた茨城(壁の町)から足を伸ばし、キルコが単身、高原学園茨城施設と思しき場所を訪れたところ、その施設は大災害前の文明を復興させようとしている復興省の施設、「大濾過装置」となっていて、そこでロビンと再会する(31話/オーマ)。

ロビンはキルコの姿を見て、春希の脳と桐子の身体という事実を知って驚愕しながらも、迫田ならできたかもと納得する。ロビンは浅草から姿をくらました迫田の行方を追っていたが見失ってしまい、浅草に戻った頃には船山孤児院も閉所になっていて、いろいろあったと振り返る。その後、宇佐美の下で2年間働いた後、廃墟となっていた高原学園茨城施設に移り、遺伝子組換え植物の実験栽培施設だった施設を再利用することに着手し、飲料水を大量に用意することにも成功。多くの住民を呼び込むことになり、復興省も地区の運営に関わることになった。こうした事情を説明した後、ロビンはキルコを風呂に入れ、その後服を奪って監禁し、数日にわたってキルコを凌辱する。しかし、数日経ってもキルコが戻らないためマルが施設を訪れ、キルコを救出する。浅草では腕を鳴らしたロビンも異常な格闘能力を持つマルによって一撃で叩きのめされる。その後、ロビンとロビンの部下を含めた4名は失踪する。復興省はロビンたちが施設で人体実験らしきことを行っていた現場を発見する。復興省は任務放棄と重要機密持ち出しの容疑でロビンたちを指名手配し、おそらく奈良に向かったキルコとマルもロビンたちの逃走を幇助したとして手配する(32話/稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②)。

 

※先生(猿渡照彦)

キルコが脳移植手術を受けた当時、浅草のロビンの自警団などに出入りしていて、竹早春希から竹早桐子への脳移植を執刀した医師。隠れて人食いの研究や人体実験をやっているという噂が立っていた。額に大きな傷の跡がある(8話/竹早桐子)。キルコの脳移植手術を済ませるとそのまますぐに浅草を後にして行方をくらましている。キルコは旅の途上、ロビンだけではなくこの先生の行方も追っている。キルコが復興省の大濾過装置でロビンと再会すると、ロビンは先生のことを「迫田」と言い及ぶ(32話/稲崎露敏①)。その後、キルコは奈良復興省の幹部、「ダンビラの旦那」から「迫田先生」のことを聞きつけ、「先生」が奈良の復興省付近にいることを突き止める(この先は「猿渡照彦」の項目参照のこと)。

 

ミクラさん(三倉まなか・ナタ・上仲詩乃)

マルをキルコに託して死亡していった女性。キルコには「天国」へ連れて行ってとだけ伝えてこと切れている。また、光線銃(キルコによれば「キル光線」、ミクラさんによれば「スーパービーム」)を護身用にキルコに託す。その一方でミクラさんはマルに「マルタッチ」によるヒルコの殺し方を伝授していて、これはマルにしかできないからこそ「天国」に行かなければならないとマルに伝えていて、本来はふたりで「天国」を目指していたと思われる。また、マルにマルと同じ顔をした人物がもうひとりいるから、その人物にこの薬を打てと、薬入りの注射のキットも託すことになった。ミクラさんはキルコにマルを託すと、そのまま、身体が黒いあざで覆われる病気の症状をみせながら死亡した(7話/トマト天国・14話/タラオ②)。

 

トトリ(ホテル王)

キルコとマルが旅の途上で出会った宿の支配人。ヒルコと同じ形状の心臓のような核を持っている。生まれたのは大災害の2年後で13歳。気が付いた時には自警団に育てられていて、現在は自警団と連携しながら宿泊業を運営している(17話/トトリ)。

トトリの両親は高原学園の施設への政府の爆撃後、高原学園のスタッフ、青島裕子によって脱出させられた学園の児童、タカとアンズだ。タカとアンズは脱出後、社会復帰するにあたってそれぞれ南方弥刀(みと)、梅津乃亜という名乗ることになる。大災害後、弥刀と乃亜は宇佐美俊(シロ)と星尾あかり(ミミヒメ)と行動をともにして上野に拠点を置いていたが、結婚を決意し、宇佐美たちと別れることになる。その後、トトリを出産した後、弥刀はひとりでトトリを育てていたが、偶然ミチカやオーマと再会する。ミチカは近隣に徘徊している、乃亜のなれの果てのヒルコを殺したがっていて、それを阻止するため弥刀はミチカと対決することになり、その対決の前にトトリを託児所の前に置いていく(49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)

 

宇佐美俊(シロ)

不滅教団を率いる医師とされているが、自身は医師ではない。ビルの発電設備などを利用してパートナーの星尾あかりの延命措置を続けている。星尾はヒルコ化する病気を発症していて、死亡するとヒルコになってしまうため宇佐美はさまざまな機材を使って星尾を延命させている。また、義体を制作できるため、多くの患者や支援者が宇佐美のもとに集まっていて、それが不滅教団と呼ばれている。また不滅教団が根城としているビルの地下駐車場にはヒルコが生息していることで知られている。宇佐美はマルに星尾がヒルコ化する前に「マルタッチ」で殺してほしいと依頼し、星尾を安楽死させる。その後、宇佐美は星尾を抱きかかえたまま自殺する(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・21話/不滅教団④・22話/不滅教団⑤)。

宇佐美は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の施設で生活していた。それまではシロと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「宇佐美」となった(43話/ミクラ②)。

 

星尾あかり(ミミヒメ)

ヒルコ化する病気を発症しながらも、患部を摘出しながら延命を続ける措置でヒルコ化していない女性。パートナーの宇佐美俊が面倒を看ている。ヒルコと同じ心臓のような核を持っている。四肢と目も失われているが片目は宇佐美から移植されたもの。宇佐美はマルに「マルタッチ」で星尾を殺すように依頼するが、星尾もそれを了解している(20話/不滅教団③・21話/不滅教団④)。

星尾は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の施設で生活していた。それまではミミヒメと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「星尾あかり」となった(43話/ミクラ②)。

 

ジューイチ

情報屋。かつて「壁の町」と呼ばれる女性支配コミュニティで10年間、「種豚」として飼育され、かつ使役されていた。名前は「種豚11号」という呼称にちなんでいて、肩には「11」の刺青も彫られている。壁の町の女性カップルから頻繁にセックスの相手を命じられ、そのうちのひとりが妊娠して出産するが、男児だったため、その乳児は「種豚」としてコミュニティには受け入れられず、種豚が育てることになる。女性カップルふたりは男児とジューイチとコミュニティからの脱走を図るが発覚し、女性カップルふたりは捕まって絞首刑となる。ジューイチはかろうじて逃げおおせてその後、情報屋として生活している(25話/壁の町①)。

ジューイチは高原学園分室ビルの前で出会ったキルコとマルに、壁の町に息子がいるかどうか潜入して確認してほしいと依頼する。キルコとマルは壁の町が「イバラキ」付近にあることから、いったん様子を見てやれそうならやると請け負う。本当の動機は、その近辺におそらく「天国」と関係する、高原学園の茨城施設があるはずだと踏んでいたからだ。しかし、壁の町は冷気を発するヒルコの根城となっていて、おそらくそこに住んでいた人たちはすべてこのヒルコに食い散らかされたと判明する。その報告をジューイチにしていたところ、偶然、ジューイチとともに壁の町で使役されていたかつての「種豚」の男性らと再会する。元種豚男性たちは共同生活を送っていて、そこにはジューイチの息子、十五もいた。元種豚6号によると、壁の町にヒルコが来襲した夜、十五が激しく夜泣きをしたため、種豚たちは全員目を覚まし、異変に気付いて脱出することができたのだという。息子と再会したジューイチはキルコとマルにこれまで自分が移動に使っていたバンを報酬として譲る。その後、ジューイチは元種豚男性のうちの脱走発覚時の密告者を殺害し、十五だけを連れて元種豚共同体の車を奪って共同生活所から出奔する(26話/壁の町②-29話/壁の町⑤)。

 

十五

ジューイチとかつての壁の町の女性との間に生まれた男児。その後、壁の町で使役されていた元種豚男性たちの共同生活所で育てられていた。しかし、そこにキルコとマルが訪れた夜にすさまじい冷気に共同生活所は覆われ、マルはダイブ(マルタッチ)せずとも十五がヒルコであることを看破する(29話/壁の町⑤)。

おそらく絞首刑になった十五の母親もまたヒルコの心臓のような核を持った人物で、壁の町を襲った冷気のヒルコはその母親が絞首刑で死んだ後、ヒルコ化したものだと思われる。十五の母親とそのパートナーは、高原学園の施設で女子同士でスキンシップと性徴期を深めていたナナキとイワ(11話/クク②)かもしれない。

 

地獄夢(ヘルム、本名: 怜夢)

キルコとマルが旅の途中、浜松付近で出会った女子。6年前に避難所で性暴力を受けたが、その犯人として似たような容貌の男性が捕まり、避難所の掟により、右腕を切り落とされてしまう。しかし、その直後に避難所で真犯人と出くわしてしまい、怜夢は罪の意識から自分の右腕も切り落としてしまう。その後、復讐のために真犯人を探していたが、ちょうどキルコとマルと出会った浜松の近くの空港で真犯人が生活していることを突き止める。キルコとマルの助力をえながら、ヘルムは真犯人に二度と性暴力を働かせないため、義手に仕込んだ小型爆弾で真犯人の股間を吹っ飛ばしてみせる(38話/地獄の夢①-40話/地獄の夢③・45話/地の孤独②)。

 

神社のおばさん

山中の神社を守る一家の家長。山道を走行中、キルコとマルは熊の毛皮を被った「熊野郎」をバンで轢いてしまい、自宅へ送り届けるとそこがこの神社だった。「熊野郎」の祖母だというおばさんは一晩泊まっていくように勧めるが、決して神社の敷地を出ないように言いつける。敷地の外に暮らしている子供たちに外の人間を目撃させないためだという。また、村落の住人はほかには残っておらず、自分たち一家だけがまだ残っているという。その一方で、キルコとマルは敷地内の地下蔵で鎖に縛られたヒルコを発見する。マルのダイブで心臓はからからになっているが、かろうじて生きていると判明する。しかし、おばさんは、これは江戸時代から伝わっている「鬼」だと言い張る。翌日、キルコとマルは「熊野郎」から浜名湖づたいに車を走らせているうちに山中に迷い込んだのだろうと教えてもらい、目指す奈良への道筋を教えてもらう。なお、地下蔵の入り口には不思議な図案が記されてあるが、この一家が近親相姦を続けていることを示している。もし、マルがヒルコと知覚し、おばさんが「鬼」と呼ぶ怪物が昔から存在しているのなら、そのことと近親相姦は関係しているのかもしれない。自分たちの家族のなかにヒルコ化してしまう家族の一員がいるのなら、外の家族と婚姻関係は結べないからだ。また、この一家の誰かが園長(上仲詩乃)と出資者の今永美咲とミーナによるヒルコ開発計画の際、精子もしくは卵子の4人の提供者として関わった可能性も考えられる。この土地にこだわって留まることをおばさんは「ちのこどく」とたとえ、それをキルコは「地の孤独」と解釈したが、おばさんは「血の孤独」と言っていたのかもしれない(44話/地の孤独①・45話/地の孤独②・47話/上仲詩乃)。

 

上仲詩乃(園長)

高原学園園長。地球と小惑星衝突(大災害)を予見し、それに備えるため学園を1995年に設立した。学園を支えるのは地球と小惑星衝突を予想したAIのミーナで、このミーナを使って園長は「完全な免疫を備えた」子供たちを4人から採取した卵子精子を使って生み出す構想を実現させていく。子供たちは学園の規定では「ヒルコ」ということになっている(35話/高原学園①・47話/上仲詩乃)。

さらに学園では戦士としてのヒルコも開発していて、これはテロなどに投入するためだ(41話・お迎えの日)。

政府は小惑星との衝突を避けるためその軌道を変えるロケット迎撃構想を進めているが、学園としては小惑星衝突を実現させたいため、このロケット施設をヒルコ戦士隊に攻撃させ破壊してみせた。しかし、このテロ攻撃については園長やAI開発チーム以外の、青島裕子や猿渡照彦らのスタッフには知らされていない(39話/地獄の夢②・41話/お迎えの日・46話/猿渡照彦)。

このテロ攻撃の結果、学園はテロ組織として政府から追及され、政府から爆撃を受けた後、自衛隊によって制圧されることになる(36話/高原学園②・41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

しかし、猿渡にナタへの自分の脳の移植を命じた園長はナタの身体として自衛隊に保護され、施設からの脱出に成功する。その後、大災害の衝撃のなかで、ナタは園長としての記憶を蘇らせていく(42話/ミクラ・43話/ミクラ②・46話/猿渡照彦)。

 

◎※猿渡照彦(迫田照彦)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長にと目されていたが、青島裕子に先を越されてしまう。しかし、園長からは最大の心腹を置かれている。園長の、いずれ青島の身体に自分の脳を移植させ、さらに将来的にはトキオの子供にまた自分の脳を移植させ、ヒルコたちの活躍を見届けたいという野望に疑問を感じている(30話/園長)。

こうした疑問から猿渡はおそらく、出産したトキオには本当の子供を引き渡さなければならないと決意し、トキオの子供のクローンを生み出したのかもしれない。

いずれにしても、猿渡はトキオの子供の世話を担当していて、出産した時はひとりだったトキオの子供はいつの間にかふたりになっている(35話/高原学園①・37話/高原学園③)。

その後、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、トキオのふたりの子供のうち、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の子供の足の裏に〇印をマーカーで描いて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のない方のあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化してしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう。また、爆撃の際、猿渡は額に大きな傷を負う(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

石化したトキオの身体に巻き込まれた園長の腕がこのままだと壊死して身体に拡がるため、猿渡は両腕の切断手術を緊急でやる必要性を説くが、この時、園長はさらに自分の脳を、爆撃で意識不明になった4期生のナタに移植手術するように猿渡に命令し、この事実は学園幹部の自分の夫(上仲永吉)にも話すなと命じる(46話・猿渡照彦)。

爆撃の後、施設は自衛隊に制圧されるが、猿渡は身を潜め投降せず、同じように身を潜めていた上仲永吉、コナ、トキオ、トキオの子、クク、オーム、ミチカとで施設で潜伏生活を続ける(46話・猿渡照彦)。

爆撃の際、額に負った傷は大きな傷跡として残っている(46話・猿渡照彦)。また、猿渡は母方の姓で本名は迫田である(47話/上仲詩乃)。また青島裕子の母親(今永美咲)は叔母にあたるのかもしれない(46話・猿渡照彦)。

その後、猿渡は奈良の復興省の近くで「迫田医院」を運営していたが、復興省をマルと訪れたキルコはそのことを探り当てる。竹塚(ミチカ)とマルの果し合いの後、医院を訪れたキルコは猿渡にどうして移植手術を行ったのかと問い詰めると、猿渡は桐子の頭はすでに拳銃で撃ち抜かれていて、春希の脳を桐子の身体に移すしかなにかしらの救いようがなかったと説明する。その一方で、キルコの追及に対して、猿渡は大災害後の人食い(ヒルコ)の生体実験については関わっていないとも説明した(53話/迫田照彦)。

その後、奈良復興省に向かっていた巨大ヒルコのアンジュラス退治を見守るためでかけたところ、退治に加わろうと現場に向かっていたキルコとマルに出くわし、マルがあまりにもトキオと似ていたため、トキオの子かと思い、ヤマトくんかと問いかける。しかし、マルは自分はマルだと名乗り、猿渡は自分がかつて足裏にマジックで〇印を描いた子だと悟る。猿渡はマルが母親のトキオにそっくりだと伝え、マルにはヤマトという双子の兄弟がいるけれども、トキオはマルの存在を知らないと伝える。さらに10年ほど前までトキオとマルは奈良復興省の町に住んでいたが、その後姿を見なくなったと説明する(54話/アンジュラス①)。

 

※青島裕子(今永美月)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長に昇格しているが、施設の子供たちを保護する計画を練っている。施設が爆撃に遭うと、その混乱に応じてその計画を実行に移すことを決意する。施設の外壁が壊れて外部に通じる隙間が出来たことと、生徒5人の点呼が取れていないことを踏まえて施設の外へ捜索に出かけ、外を探索していたミミヒメ、シロ、アンズ、タカの4人を発見し保護する。そのまま青島は4人を施設のある奈良県からボートで脱出させ保護することを決行する(37話/高原学園③・38話/地獄の夢①・39話/地獄の夢②)。

青島裕子は偽名で、本名は今永美月。1995年に設立した学園に出資し続けた今永美咲の娘(47話/上仲詩乃)。

大災害後は奈良の復興省で「今永主任」となっている(52話/ミチカ④)。

 

アスラ

高原学園奈良施設の1期生。傷を癒したり、テレパシーを使ったり、未来を予測するなど、超常的な能力を持っている。自分が生まれた理由がわかったからと同じ1期生のコナに説明して自殺する。自殺する際、背中から戦士ヒルコのような羽を生やして空中を飛び、学校の施設の天井から首をくくってしまう(23話/アスラ)。

 

コナ

高原学園奈良施設の1期生。アスラの自殺後は唯一の1期生。さまざまな不気味な生物の絵を描いているが(1話/トキオ)、そうした絵の1部が15年後にはヒルコとして実体化していることも判明する(10話/クク①)。その後、トキオと親密になり、トキオの妊娠が判明する(24話/A-mk3)。コナは予知能力がありつつも、アスラやミミヒメのようにイメージや直感として鮮明ではなく、見えるものを絵で表現している。ただ、「アスラを殺したやつがトキオを奪いにくる」とも予感している(23話/アスラ)。

自衛隊の制圧の際には石化状態から回復したトキオとトキオの子供とおそらく身を隠す。

その後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設と島で潜伏生活を送る(46話/猿渡照彦)。

 

トキオ

高原学園奈良施設の2期生。授業で使っているタブレットがバグったことがきっかけで、自分たちの住む学園の壁の外にも世界があるのかどうか気になり始めている(1話/トキオ)。コナと思いを寄せ合っていて、やがてコナとの子を妊娠していることが判明する(24話/A-mk3)。トキオは無事に子供を出産するが(30話/園長)、生んだ時1体だった新生児はしばらくすると2体となっている(35話/高原学園①)。

この2児を学園スタッフの猿渡が面倒を看ているが、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の足の裏に〇印をマーカーで描きつけて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のないあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化して仮死状態に入ってしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

トキオが2日間石化した状態の後、テロ攻撃から離脱し、仲間から光線銃で撃たれて瀕死の状態の戦士ヒルコが施設に舞い戻る。その戦士ヒルコはトキオがククと実験生物を覗きに行った時にトキオに気付いたヒルコで(11話/クク②)、すでに身体の組織のほとんどが崩壊して液状化しながら最期にトキオに向かって「お母さん」とつぶやく。するとトキオの石化状態が解消されて、トキオとあかちゃんが通常の状態に戻る。その一方で戦士ヒルコは完全に液化してしまう(41話/お迎えの日)。

その直後の自衛隊の施設制圧の際、おそらくコナとともに身を隠したトキオとあかちゃんはその後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活に入る(46話/猿渡照彦)。

 

タラオ

2期生。皮膚が黒ずんでいく病気を発症し死亡。黒いあざができて半年くらいで死んでしまう(トキオ談。23話/アスラ)。元気な頃のタラオは運動能力がずば抜けているタカでさえ持ち上げられない石を軽々と持ち上げていた。タラオはトキオに思いを寄せていたが、トキオはコナを好いているので最後にという思いのキスも拒否される。死を覚悟すると、タラオはトキオに「ここは危ないから逃げて」と言い残す(13話/タラオ①)。

タラオの遺灰には心臓のような核(マルがヒルコを殺す時に手で握りつぶしているもの)が残る。タラオの病気について猿渡は「もしもあらゆる免疫を備えて作られた体ゆえに発症したものなら全ての子供達に発症の可能性があります」と語っている(15話/タラオ③)。

 

ミミヒメ(星尾あかり)

2期生。耳が細長く先に毛が生えていて普段は犬のように垂れてほかの頭髪と紛れている。予知能力があり、先の出来事が視覚的に見えることがある。その一方で過去のことも視覚的に見えてくることもある。学園が攻撃された後、自衛隊に制圧され、保護される時のことも予知している(23話/アスラ)。その一方で、その後、自身がヒルコ化する病に冒され、マルに殺されることでヒルコ化から救われることも、夢やイメージでトキオに似た男の子に助けられることになると予知している(1話/トキオ)。

また、コナが将来ヒルコ化した時の姿も視覚として予見している(34話/稲崎露敏③)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとシロ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でミミヒメはシロ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したミミヒメは「星尾あかり」として生活を始める(43話/ミクラ②)。

 

シロ(宇佐美俊)

2期生。ミミヒメに思いを寄せている。機械や電機系や配線系の工作が得意(1話/トキオ)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとミミヒメ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でシロはミミヒメ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したシロは新しい名前をもらっているがあまり気に入っていない(43話/ミクラ②)。後にシロは「宇佐美俊」と名乗っている(19話/不滅教団②・49話/ミチカ①)。

 

アンズ(梅津乃亜)

2期生。踊りの才能が傑出している(15話・タラオ③)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとタカ、シロ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でアンズはタカ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したアンズは「梅津乃亜」として生活を始め、タカ(南方弥刀)と結婚する。宇佐美俊(シロ)と堀尾あかり(ミミヒメ)の立ち合いのもと、結婚を宣言するのは上野の高原学園施設でのことで、ここにはその後、キルコとマルが手掛かりを探しに訪れている。その後、弥刀と乃亜は俊とあかりたちと別れ、トトリを生む。その後、弥刀とトトリの近辺をさすらうヒルコは乃亜の成れの果てだ(26話/壁の町②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

 

タカ(南方弥刀)

2期生。異常な身体能力を持っている(1話/トキオ)。

学園が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとアンズ、シロ、ミミヒメと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でタカはアンズ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したタカは新しい名前をもらっていて、「南方弥刀」というもの(43話/ミクラ②)。

やがて、弥刀はアンズ(梅津乃亜)と結婚する。宇佐美俊(シロ)と堀尾あかり(ミミヒメ)の立ち合いのもと、結婚を宣言するのは上野の高原学園施設でのことで、ここにはその後、キルコとマルが手掛かりを探しに訪れている。その後、弥刀と乃亜は俊とあかりたちと別れ、トトリを生む。トトリを育てていた弥刀は偶然、ミチカとオーマに再会する。ミチカは近くに大きなヒルコの気配を感じ取っていてそれを殺したがっていて、弥刀も加わるように誘うが、弥刀はそのヒルコ(乃亜)を殺させるわけにはいかないとミチカと対決することになる。もともと弥刀は斬る念力を備えていて、かつてそれをミチカに無意識にやってしまい、それをコナに目撃されたこともあった。しかし、ミチカに間合いを見極められてしまい、殺されてしまう(23話/アスラ・26話/壁の町②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

 

※クク

3期生の生徒で俊敏で壁を這い上がれる能力を持つ。その能力でトキオを連れて学園内の立ち入り禁止区域にダクトから潜入し、実験生物(戦士ヒルコ)の「あかちゃん」をトキオに見せる(11話/クク②)。

自衛隊による施設制圧時にミチカとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡照彦、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ククはミチカとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。しかし、旅の途上でククは肌が黒ずんでいく病気を発症し、死んだら海に身体を流してほしいと語る(48話/復興省)。

その後、ククは死亡し、ミチカとオームは約束通り、波止場からククの身体を海に投じる。その後、ミチカとオームは偶然トトリを連れたタカ(南方弥刀)と遭遇する(49話/ミチカ①)。

海に葬られた後、ククは海中でかつてコナが描いた絵にそっくりなヒルコへと変身していく(52話/ミチカ④)。

両性具有である(45話/地の孤独②)。

 

※ミチカ(竹塚)

3期生。クク同様に異常な身体能力を誇る。自衛隊による施設制圧時にククとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ミチカはククとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。ミチカはヒルコと戦うのを生き甲斐にしているが、大きなヒルコについてはククと一緒でないと勝てないと認識している(48話/復興省)。

黒いあざの病気で死んだククを海に葬ったミチカとオーマは、トトリを育てていた弥刀(タカ)と偶然、再会する。ミチカは近くに大きなヒルコの気配を感じ取っていてそれを殺したがっていて、弥刀も加わるように誘うが、弥刀はそのヒルコ(乃亜)を殺させるわけにはいかないとミチカと対決することになる。もともと弥刀は斬る念力を備えていて、かつてそれをミチカに無意識にやってしまい、それをコナに目撃されたこともあった。しかし、ミチカはそれを見極め、弥刀のことを仕留めてみせる。手首を切り落とされてしまうが、目撃していたオーマがその手首を腕にくっつけてみせる。その現場でミチカとオーマは竹塚さんという女性に保護される。現在のミチカにはこの時の傷痕が手首と首に残されている。また、ミチカの視力は通常とは違ったものになっている。そのため、ミチカにはオーマの幻覚作用がまったく通用しない(23話/アスラ・26話/壁の町②・45話/地の孤独②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

その後、ヒルコと戦うのが好きな用心棒、「竹塚」として茨城の復興省で働いていて、ロビンの一味及びキルコとマルの身柄確保の依頼を受けて捜索に乗り出し、高原学園の旧奈良施設付近の奈良復興省施設でマルを食堂でみつけると格闘を始める(34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②・50話/ミチカ②)。

その独特な間合いでマルをのしてしまったミチカと茨城復興省の職員ふたりは奈良復興省施設から離れた場所で夜を過ごすが、翌日、ヒルコであるミチカの気配を索敵したマルにみつかり、マルから再度の果し合いを要求される。マルはその前日にミクラさんしか口にしたことのなかった「ヒルコ」という名称をミチカが口にしていたのが気になっていて、自分が勝負に勝ったらミクラさんについて教えろと要求する。ふたりは復興省から離れた町の倉庫で対決を始め、互角で死闘を繰り広げ、ふたりとも力尽きる(51話/ミチカ③・52話/ミチカ④)。

子供の頃の描写では男の子のようだが、両性具有で乳房もある(45話/地の孤独②)。

 

ナタ(三倉まなか・上仲詩乃)

4期生。施設が爆撃を受けた際、頭部に損傷を受け、意識不明となる(41話/お迎えの日)。

石化したトキオの身体に腕を巻き込まれた園長は猿渡に腕の切断手術を緊急でやらないと身体が壊死していくと告げられるが、その際、園長はさらに自分の脳をナタに移植手術するように命令する(46話/猿渡照彦)。

手術後のナタの身体とベッドは、自衛隊が施設を制圧した後に運び出され、豊中の病院へと移されていく。意識が戻るとナタは、同期生で保護されたマコとサクヤに何度も見舞われるがかつての自分の記憶を思い出すことができない。また、3人にはそれぞれに三倉まなか、堀さちお、八坂なのはという新しい名前も行政側から与えられる。しかし、新たに大災害の大地震に襲われるなかで、マコ(堀さちお)が置いていったリュックの中から光線銃の「スーパービーム」を見つけ、それをきっかけにナタは、園長(上仲詩乃)としての記憶を回復していく(42話/ミクラ①・43話/ミクラ②)。

園長の記憶が戻った「三倉」は大災害後の現状がまったく想定していた状況と違っていることに焦りながら、「さちお」と「なのは」を従えつつ、善処を図るため高原学園のAI、ミーナへのアクセスを試みる。最寄りの高原学園の分所で、ようやくミーナとのアクセスに成功するが、大災害の余波の地震でそれも失われてしまう。その後、三倉はさちおとなのはの3人でさまざまな店に押し入っては物品を収奪し、学園分所に集積させていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

マコ(堀さちお)

4期生。ナタと親しかった。高原学園の奈良施設が爆撃された後、手術を受けたナタの様子を見に行くと施設に舞い戻った瀕死の戦士ヒルコを目撃し、その戦士が落とした光線銃を拾う。マコはこれを自分のリュックにしまう。その直後に施設は自衛隊に制圧され、マコは身を隠しながらこのリュックを隠す。その後、昏睡状態のナタの身柄を自衛隊が保護すると、マコも自衛隊の指示に従って身柄を預け、サクヤなどそのほかの子供たちとともに保護される。マコのリュックは施設からの退避の際、ナタの持ち物としてナタと一緒に移動させられる。豊中で保護されてからナタとマコとサクヤはそれぞれに「三倉まなか」「堀さちお」「八坂なのは」と行政から新しい名前をもらう(41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

意識の戻った「三倉」が、実は移植されていた園長(上仲詩乃)の脳の記憶を回復してからは(43話/ミクラ②)、「さちお」は「なのは」とともにナタの行動に従っていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

オーマ

5期生。相手に幻覚を見させる力を持っていてその力を抑えるために特殊な眼鏡をかけている(31話/オーマ)。この自分の危険な能力との付き合い方を模索してくれたミミヒメのことを深く慕っている(34話・稲崎露敏③)。

施設が自衛隊に制圧されると、オーマはククやミチカに促され身を潜め、様子を窺うことにする(41話/お迎えの日)。

そのまま3人はコナ、トキオ、トキオの子供と猿渡、上仲永吉と施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、オーマはククとミチカとミミヒメを探しに旅に出ている。自分にちょっかいを出す人間は幻覚術で撃退しているが、オーマの能力はククやミチカによると人間には無敵だがヒルコ向きではないという(48話/復興省)。

ミチカとタカ(南方弥刀)との対決のあと、「竹塚さん」に保護される(50話/ミチカ②)

両性具有である(45話/地の孤独②)。

星尾あかり(ミミヒメ)が最後に息を引き取る不滅教団の地下駐車場に棲みついているヒルコはその身体の文様からしてオーマの成れの果てだ(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・22話/不滅教団⑤)。

ヒルコ化した後もオーマは人に幻覚を見させる力を発揮している(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③)。

『天国大魔境』キャラ別ファクトチェック(ネタバレ警告)23/04/23vers

※完全にネタバレ記事なのでまだきちんと『天国大魔境』を読んでいない方はまず読んでから再訪してください。

 

石黒正数の『天国大魔境』(月刊アフタヌーン連載。2018年1月~)がいよいよ佳境に迫ってきた様相。アニメも始まりました! 個人的には宮崎駿の漫画版『風の谷のナウシカ』以来のディストピアSF大作のようにも感じるし、テーマ的にも共通するところが多々あるように思う。伏線があまりにも張り巡らされているところもとても似ているし、場合によってはまだまだ続いていくことになるのかもしれない。

いずれにしても、物語があまりにも錯綜しているので自分の理解のためにも主要登場人物に則して出来事を整理してみました。

前回から新しく加筆した項目には※印がついています。

 

※キルコ

ミクラさんから託されたマルを「天国」へ連れて行くためボディガードを務めている。ミクラさんからはさらに光線銃「キル光線」(「スーパービーム」や「デス光線」とも呼ばれる)も護身用に託されている(7話/トマト天国)。

日本は「大災害」後、基本的に国家や社会の機能やインフラが崩壊したため、ふたりは食べ物や日用品を民家などで漁りながら旅している(2話/マル)。また、漁った本やCDなどを市場で売っている(13話/タラオ①)。

キルコは便利屋でもあることから「人食い」退治を請け負ったりもしているが、マルと組むことで「人食い」を確実に殺せるようになっている。マルと出会ってからはマルが「人食い」を「ヒルコ」と呼んでいることを知る(4話/ヒルコ①・5話/ヒルコ②)。

おそらくマルはミクラさんから「ヒルコ」と教えられている。

マルと出会うまでキルコは人食いを仮死状態にできただけで、確実に殺せたと実感できたことはなかった(14話/タラオ②)。

キルコは実は脳移植手術を受けていて、脳は弟の竹早春希のもので、身体は春希の姉、竹早桐子のものだ。春希は大災害の年には3歳、桐子は5歳だった。浅草の船山孤児院で育った春希は浅草の自警団の見習いをしていて、桐子は浅草で開催される電動カートレースの人気ドライバーだった。ある時、レース中のコースに人食いを発見した春希はこれを退散させようとするが、あえなく人食いに捕捉され、食べられ始めてしまう。これを目撃した桐子はカートで人食いに体当たりして、この衝撃に人食いは春希を口から落として退散する。その後、意識が戻った時、春希は桐子の身体の中で生きていた。診療所の看護婦たちは通常の手術をしただけだと理解しているが、執刀したのは自警団にも出入りしていた「先生」で、春希の脳を桐子の頭蓋骨に移す脳移植手術を施していた。「先生」はその手術後、浅草を去っていた。春希は下半身を人食いに食べられ、そのまま診療所で死亡したと理解されている。回復後、自警団を仕切っていたロビンがおそらく殺害され、船山孤児院は解散し、「先生」も行方をくらましたことを知る。その後、キルコは旅行や移動時のボディガード業を中心とする便利屋稼業を始め、中野に本拠地を移していたところ、ミクラさんからの依頼を受けることになった(8話/竹早桐子・9話/竹早春希・10話/クク①)。

こうした身体的な理由のため、キルコは通常に話している時は20歳ということになっているが(桐子の年齢。大災害時には5歳)、思い出や記憶の話をし始めると17歳になってしまう(春希の年齢。6話/タカ)。

その後、マルと「天国」への旅を続けながら、ロビンや先生の行方も探しているが、不滅教団でロビンが宇佐美の下で働いていたことを知る(21話/不滅教団④)。

さらに「天国」の関連施設を探すため訪れた茨城では、高原学園の遺伝子組換え植物の栽培工場を再利用して成功したロビンに再会する。しかし、ロビンに監禁され強姦されることになり、さらに再会した時のロビンの恐怖に近い驚愕の表情にも不可解さを覚える。やがてマルに救出されると、(春希にとって)憧れの人物だったロビンとの決別を決意し、高原学園のもうひとつの重要施設がある奈良に向かう。なお、ロビンとの話から、自分に手術を施した浅草の先生は「迫田」という名前だったことを知る(32話・稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③)。

キルコに手術を施した「先生」は猿渡(迫田)照彦で猿渡は奈良の復興省の近くで「迫田医院」を運営している。竹塚とマルの果し合いの後、医院を訪れたキルコは猿渡にどうして自分の移植手術を行ったのかと問い詰めると、猿渡は桐子の頭はすでに拳銃で撃ち抜かれていて、春希の脳を桐子の身体に移すしかなにかしらの救いようはなかったと説明する。つまり、春希が意識を失ってから桐子は誰かしらに銃撃されていて、その痕跡は確かにキルコの頭部にも残っていることにキルコは気付く。その一方猿渡は大災害後の人食い(ヒルコ)の生体実験については関わっていないとも説明した(53話/迫田照彦)。

 

※マル

大災害と同じ年に生まれた。最も古い記憶は3歳か4歳の頃。同じ年頃の子供たちと集団生活をしていて面倒を看てくれる大人もいっぱいいた。7歳くらいの頃にそこが解散しそれぞれに大人に連れられて離散。マルは身寄りのない子供たちとともに別な集団に属して資源漁りなどをして過ごす。その後集団間の競合で自分の集団のボスが殺されるとより大きな自警団に吸収された。そこへミクラさんが来て引き取られた。マルはヒルコを殺すやり方をミクラさんから教わる。「マルタッチ」ができるのはミクラさんの話ではマルだけで、だからこそ「天国」に行かなければいけないと言われていた(14話/タラオ②)。

また、マルはミクラさんから自分と同じ顔をした人物がもうひとりいるからその人物をみつけて薬を打てと薬を装填した注射器を託されている(7話/トマト天国)。

マルは異常な身体能力を誇っていて、喧嘩や格闘になったら常人では太刀打ちできないし、高所から飛び降りても特にダメージも受けない(13話/タラオ①・27話/壁の町③・16話/100%安全水)。

その異常な身体能力はマルが通常の人間ではないことをほのめかしている。

折られた永久歯もまた生えてきてしまう特異体質である(23話/アスラ)。

キルコと辿り着いた復興省の奈良施設で、茨城の復興省からマルとキルコの捜索依頼を受けていた竹塚(ミチカ)に発見されてしまう。マルをヒルコだと感じ取った竹塚はマルに襲い掛かり、ふたりの格闘が始まる(50話/ミチカ②)。

しかし、竹塚の間合いに手も足も出なかったマルは翌日、ヒルコである竹塚の気配から居場所を突き止め、再対決を仕掛け、「ヒルコ」という名称を前日口にした竹塚がミクラさんについてなにか知っているはずだと踏んで、勝負に勝ったらミクラさんについて教えろと強要し、ふたりの果し合いが始まる。ふたりは互角で死闘を繰り広げ、力尽きる(51話/ミチカ③・52話/ミチカ④)。

キルコのことが好きで何度も告白している(7話/トマト天国・34話/稲崎露敏③)。

 

 

稲崎露敏(ロビン)

キルコと同じ浅草の船山孤児院出身の兄貴的存在。竹早春希から竹早桐子への脳移植手術の後、孤児院も閉鎖され、ロビンは連続失踪事件の調査中に殺されたということになっている。しかし、キルコはマルと「天国」への旅をしながらロビンの探索も続けていて、その後、不滅教団の宇佐美の下でロビンが働いていたが、その後また姿を消したことがわかってくる(21話/不滅教団④)。

キルコとマルは依頼されて訪れた茨城(壁の町)から足を伸ばし、キルコが単身、高原学園茨城施設と思しき場所を訪れたところ、その施設は大災害前の文明を復興させようとしている復興省の施設、「大濾過装置」となっていて、そこでロビンと再会する(31話/オーマ)。

ロビンはキルコの姿を見て、春希の脳と桐子の身体という事実を知って驚愕しながらも、迫田ならできたかもと納得する。ロビンは浅草から姿をくらました迫田の行方を追っていたが見失ってしまい、浅草に戻った頃には船山孤児院も閉所になっていて、いろいろあったと振り返る。その後、宇佐美の下で2年間働いた後、廃墟となっていた高原学園茨城施設に移り、遺伝子組換え植物の実験栽培施設だった施設を再利用することに着手し、飲料水を大量に用意することにも成功。多くの住民を呼び込むことになり、復興省も地区の運営に関わることになった。こうした事情を説明した後、ロビンはキルコを風呂に入れ、その後服を奪って監禁し、数日にわたってキルコを凌辱する。しかし、数日経ってもキルコが戻らないためマルが施設を訪れ、キルコを救出する。浅草では腕を鳴らしたロビンも異常な格闘能力を持つマルによって一撃で叩きのめされる。その後、ロビンとロビンの部下を含めた4名は失踪する。復興省はロビンたちが施設で人体実験らしきことを行っていた現場を発見する。復興省は任務放棄と重要機密持ち出しの容疑でロビンたちを指名手配し、おそらく奈良に向かったキルコとマルもロビンたちの逃走を幇助したとして手配する(32話/稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②)。

 

※先生(猿渡照彦)

キルコが脳移植手術を受けた当時、浅草のロビンの自警団などに出入りしていて、竹早春希から竹早桐子への脳移植を執刀した医師。隠れて人食いの研究や人体実験をやっているという噂が立っていた。額に大きな傷の跡がある(8話/竹早桐子)。キルコの脳移植手術を済ませるとそのまますぐに浅草を後にして行方をくらましている。キルコは旅の途上、ロビンだけではなくこの先生の行方も追っている。キルコが復興省の大濾過装置でロビンと再会すると、ロビンは先生のことを「迫田」と言い及ぶ(32話/稲崎露敏①)。その後、キルコは奈良復興省の幹部、「ダンビラの旦那」から「迫田先生」のことを聞きつけ、「先生」が奈良の復興省付近にいることを突き止める(この先は「猿渡照彦」の項目参照のこと)。

 

ミクラさん(三倉まなか・ナタ・上仲詩乃)

マルをキルコに託して死亡していった女性。キルコには「天国」へ連れて行ってとだけ伝えてこと切れている。また、光線銃(キルコによれば「キル光線」、ミクラさんによれば「スーパービーム」)を護身用にキルコに託す。その一方でミクラさんはマルに「マルタッチ」によるヒルコの殺し方を伝授していて、これはマルにしかできないからこそ「天国」に行かなければならないとマルに伝えていて、本来はふたりで「天国」を目指していたと思われる。また、マルにマルと同じ顔をした人物がもうひとりいるから、その人物にこの薬を打てと、薬入りの注射のキットも託すことになった。ミクラさんはキルコにマルを託すと、そのまま、身体が黒いあざで覆われる病気の症状をみせながら死亡した(7話/トマト天国・14話/タラオ②)。

 

トトリ(ホテル王)

キルコとマルが旅の途上で出会った宿の支配人。ヒルコと同じ形状の心臓のような核を持っている。生まれたのは大災害の2年後で13歳。気が付いた時には自警団に育てられていて、現在は自警団と連携しながら宿泊業を運営している(17話/トトリ)。

トトリの両親は高原学園の施設への政府の爆撃後、高原学園のスタッフ、青島裕子によって脱出させられた学園の児童、タカとアンズだ。タカとアンズは脱出後、社会復帰するにあたってそれぞれ南方弥刀(みと)、梅津乃亜という名乗ることになる。大災害後、弥刀と乃亜は宇佐美俊(シロ)と星尾あかり(ミミヒメ)と行動をともにして上野に拠点を置いていたが、結婚を決意し、宇佐美たちと別れることになる。その後、トトリを出産した後、弥刀はひとりでトトリを育てていたが、偶然ミチカやオーマと再会する。ミチカは近隣に徘徊している、乃亜のなれの果てのヒルコを殺したがっていて、それを阻止するため弥刀はミチカと対決することになり、その対決の前にトトリを託児所の前に置いていく(49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)

 

宇佐美俊(シロ)

不滅教団を率いる医師とされているが、自身は医師ではない。ビルの発電設備などを利用してパートナーの星尾あかりの延命措置を続けている。星尾はヒルコ化する病気を発症していて、死亡するとヒルコになってしまうため宇佐美はさまざまな機材を使って星尾を延命させている。また、義体を制作できるため、多くの患者や支援者が宇佐美のもとに集まっていて、それが不滅教団と呼ばれている。また不滅教団が根城としているビルの地下駐車場にはヒルコが生息していることで知られている。宇佐美はマルに星尾がヒルコ化する前に「マルタッチ」で殺してほしいと依頼し、星尾を安楽死させる。その後、宇佐美は星尾を抱きかかえたまま自殺する(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・21話/不滅教団④・22話/不滅教団⑤)。

宇佐美は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の施設で生活していた。それまではシロと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「宇佐美」となった(43話/ミクラ②)。

 

星尾あかり(ミミヒメ)

ヒルコ化する病気を発症しながらも、患部を摘出しながら延命を続ける措置でヒルコ化していない女性。パートナーの宇佐美俊が面倒を看ている。ヒルコと同じ心臓のような核を持っている。四肢と目も失われているが片目は宇佐美から移植されたもの。宇佐美はマルに「マルタッチ」で星尾を殺すように依頼するが、星尾もそれを了解している(20話/不滅教団③・21話/不滅教団④)。

星尾は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の施設で生活していた。それまではミミヒメと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「星尾あかり」となった(43話/ミクラ②)。

 

ジューイチ

情報屋。かつて「壁の町」と呼ばれる女性支配コミュニティで10年間、「種豚」として飼育され、かつ使役されていた。名前は「種豚11号」という呼称にちなんでいて、肩には「11」の刺青も彫られている。壁の町の女性カップルから頻繁にセックスの相手を命じられ、そのうちのひとりが妊娠して出産するが、男児だったため、その乳児は「種豚」としてコミュニティには受け入れられず、種豚が育てることになる。女性カップルふたりは男児とジューイチとコミュニティからの脱走を図るが発覚し、女性カップルふたりは捕まって絞首刑となる。ジューイチはかろうじて逃げおおせてその後、情報屋として生活している(25話/壁の町①)。

ジューイチは高原学園分室ビルの前で出会ったキルコとマルに、壁の町に息子がいるかどうか潜入して確認してほしいと依頼する。キルコとマルは壁の町が「イバラキ」付近にあることから、いったん様子を見てやれそうならやると請け負う。本当の動機は、その近辺におそらく「天国」と関係する、高原学園の茨城施設があるはずだと踏んでいたからだ。しかし、壁の町は冷気を発するヒルコの根城となっていて、おそらくそこに住んでいた人たちはすべてこのヒルコに食い散らかされたと判明する。その報告をジューイチにしていたところ、偶然、ジューイチとともに壁の町で使役されていたかつての「種豚」の男性らと再会する。元種豚男性たちは共同生活を送っていて、そこにはジューイチの息子、十五もいた。元種豚6号によると、壁の町にヒルコが来襲した夜、十五が激しく夜泣きをしたため、種豚たちは全員目を覚まし、異変に気付いて脱出することができたのだという。息子と再会したジューイチはキルコとマルにこれまで自分が移動に使っていたバンを報酬として譲る。その後、ジューイチは元種豚男性のうちの脱走発覚時の密告者を殺害し、十五だけを連れて元種豚共同体の車を奪って共同生活所から出奔する(26話/壁の町②-29話/壁の町⑤)。

 

十五

ジューイチとかつての壁の町の女性との間に生まれた男児。その後、壁の町で使役されていた元種豚男性たちの共同生活所で育てられていた。しかし、そこにキルコとマルが訪れた夜にすさまじい冷気に共同生活所は覆われ、マルはダイブ(マルタッチ)せずとも十五がヒルコであることを看破する(29話/壁の町⑤)。

おそらく絞首刑になった十五の母親もまたヒルコの心臓のような核を持った人物で、壁の町を襲った冷気のヒルコはその母親が絞首刑で死んだ後、ヒルコ化したものだと思われる。十五の母親とそのパートナーは、高原学園の施設で女子同士でスキンシップと性徴期を深めていたナナキとイワ(11話/クク②)かもしれない。

 

地獄夢(ヘルム、本名: 怜夢)

キルコとマルが旅の途中、浜松付近で出会った女子。6年前に避難所で性暴力を受けたが、その犯人として似たような容貌の男性が捕まり、避難所の掟により、右腕を切り落とされてしまう。しかし、その直後に避難所で真犯人と出くわしてしまい、怜夢は罪の意識から自分の右腕も切り落としてしまう。その後、復讐のために真犯人を探していたが、ちょうどキルコとマルと出会った浜松の近くの空港で真犯人が生活していることを突き止める。キルコとマルの助力をえながら、ヘルムは真犯人に二度と性暴力を働かせないため、義手に仕込んだ小型爆弾で真犯人の股間を吹っ飛ばしてみせる(38話/地獄の夢①-40話/地獄の夢③・45話/地の孤独②)。

 

神社のおばさん

山中の神社を守る一家の家長。山道を走行中、キルコとマルは熊の毛皮を被った「熊野郎」をバンで轢いてしまい、自宅へ送り届けるとそこがこの神社だった。「熊野郎」の祖母だというおばさんは一晩泊まっていくように勧めるが、決して神社の敷地を出ないように言いつける。敷地の外に暮らしている子供たちに外の人間を目撃させないためだという。また、村落の住人はほかには残っておらず、自分たち一家だけがまだ残っているという。その一方で、キルコとマルは敷地内の地下蔵で鎖に縛られたヒルコを発見する。マルのダイブで心臓はからからになっているが、かろうじて生きていると判明する。しかし、おばさんは、これは江戸時代から伝わっている「鬼」だと言い張る。翌日、キルコとマルは「熊野郎」から浜名湖づたいに車を走らせているうちに山中に迷い込んだのだろうと教えてもらい、目指す奈良への道筋を教えてもらう。なお、地下蔵の入り口には不思議な図案が記されてあるが、この一家が近親相姦を続けていることを示している。もし、マルがヒルコと知覚し、おばさんが「鬼」と呼ぶ怪物が昔から存在しているのなら、そのことと近親相姦は関係しているのかもしれない。自分たちの家族のなかにヒルコ化してしまう家族の一員がいるのなら、外の家族と婚姻関係は結べないからだ。また、この一家の誰かが園長(上仲詩乃)と出資者の今永美咲とミーナによるヒルコ開発計画の際、精子もしくは卵子の4人の提供者として関わった可能性も考えられる。この土地にこだわって留まることをおばさんは「ちのこどく」とたとえ、それをキルコは「地の孤独」と解釈したが、おばさんは「血の孤独」と言っていたのかもしれない(44話/地の孤独①・45話/地の孤独②・47話/上仲詩乃)。

 

上仲詩乃(園長)

高原学園園長。地球と小惑星衝突(大災害)を予見し、それに備えるため学園を1995年に設立した。学園を支えるのは地球と小惑星衝突を予想したAIのミーナで、このミーナを使って園長は「完全な免疫を備えた」子供たちを4人から採取した卵子精子を使って生み出す構想を実現させていく。子供たちは学園の規定では「ヒルコ」ということになっている(35話/高原学園①・47話/上仲詩乃)。

さらに学園では戦士としてのヒルコも開発していて、これはテロなどに投入するためだ(41話・お迎えの日)。

政府は小惑星との衝突を避けるためその軌道を変えるロケット迎撃構想を進めているが、学園としては小惑星衝突を実現させたいため、このロケット施設をヒルコ戦士隊に攻撃させ破壊してみせた。しかし、このテロ攻撃については園長やAI開発チーム以外の、青島裕子や猿渡照彦らのスタッフには知らされていない(39話/地獄の夢②・41話/お迎えの日・46話/猿渡照彦)。

このテロ攻撃の結果、学園はテロ組織として政府から追及され、政府から爆撃を受けた後、自衛隊によって制圧されることになる(36話/高原学園②・41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

しかし、猿渡にナタへの自分の脳の移植を命じた園長はナタの身体として自衛隊に保護され、施設からの脱出に成功する。その後、大災害の衝撃のなかで、ナタは園長としての記憶を蘇らせていく(42話/ミクラ・43話/ミクラ②・46話/猿渡照彦)。

 

※猿渡照彦(迫田照彦)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長にと目されていたが、青島裕子に先を越されてしまう。しかし、園長からは最大の心腹を置かれている。園長の、いずれ青島の身体に自分の脳を移植させ、さらに将来的にはトキオの子供にまた自分の脳を移植させ、ヒルコたちの活躍を見届けたいという野望に疑問を感じている(30話/園長)。

こうした疑問から猿渡はおそらく、出産したトキオには本当の子供を引き渡さなければならないと決意し、トキオの子供のクローンを生み出したのかもしれない。

いずれにしても、猿渡はトキオの子供の世話を担当していて、出産した時はひとりだったトキオの子供はいつの間にかふたりになっている(35話/高原学園①・37話/高原学園③)。

その後、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、トキオのふたりの子供のうち、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の子供の足の裏に〇印をマーカーで描いて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のない方のあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化してしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう。また、爆撃の際、猿渡は額に大きな傷を負う(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

石化したトキオの身体に巻き込まれた園長の腕がこのままだと壊死して身体に拡がるため、猿渡は両腕の切断手術を緊急でやる必要性を説くが、この時、園長はさらに自分の脳を、爆撃で意識不明になった4期生のナタに移植手術するように猿渡に命令し、この事実は学園幹部の自分の夫(上仲永吉)にも話すなと命じる(46話・猿渡照彦)。

爆撃の後、施設は自衛隊に制圧されるが、猿渡は身を潜め投降せず、同じように身を潜めていた上仲永吉、コナ、トキオ、トキオの子、クク、オーム、ミチカとで施設で潜伏生活を続ける(46話・猿渡照彦)。

爆撃の際、額に負った傷は大きな傷跡として残っている(46話・猿渡照彦)。また、猿渡は母方の姓で本名は迫田である(47話/上仲詩乃)。また青島裕子の母親(今永美咲)は叔母にあたるのかもしれない(46話・猿渡照彦)。

その後、猿渡は奈良の復興省の近くで「迫田医院」を運営しているが、復興省をマルと訪れたキルコはそのことを探り当てる。竹塚とマルの果し合いの後、医院を訪れたキルコは猿渡にどうして移植手術を行ったのかと問い詰めると、猿渡は桐子の頭はすでに拳銃で撃ち抜かれていて、春希の脳を桐子の身体に移すしかなにかしらの救いようがなかったと説明する。その一方で、キルコの追及に対して、猿渡は大災害後の人食い(ヒルコ)の生体実験については関わっていないとも説明した(53話/迫田照彦)。

 

※青島裕子(今永美月)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長に昇格しているが、施設の子供たちを保護する計画を練っている。施設が爆撃に遭うと、その混乱に応じてその計画を実行に移すことを決意する。施設の外壁が壊れて外部に通じる隙間が出来たことと、生徒5人の点呼が取れていないことを踏まえて施設の外へ捜索に出かけ、外を探索していたミミヒメ、シロ、アンズ、タカの4人を発見し保護する。そのまま青島は4人を施設のある奈良県からボートで脱出させ保護することを決行する(37話/高原学園③・38話/地獄の夢①・39話/地獄の夢②)。

青島裕子は偽名で、本名は今永美月。1995年に設立した学園に出資し続けた今永美咲の娘(47話/上仲詩乃)。

大災害後は奈良の復興省で「今永主任」となっている(52話/ミチカ④)。

 

 

アスラ

高原学園奈良施設の1期生。傷を癒したり、テレパシーを使ったり、未来を予測するなど、超常的な能力を持っている。自分が生まれた理由がわかったからと同じ1期生のコナに説明して自殺する。自殺する際、背中から戦士ヒルコのような羽を生やして空中を飛び、学校の施設の天井から首をくくってしまう(23話/アスラ)。

 

コナ

高原学園奈良施設の1期生。アスラの自殺後は唯一の1期生。さまざまな不気味な生物の絵を描いているが(1話/トキオ)、そうした絵の1部が15年後にはヒルコとして実体化していることも判明する(10話/クク①)。その後、トキオと親密になり、トキオの妊娠が判明する(24話/A-mk3)。コナは予知能力がありつつも、アスラやミミヒメのようにイメージや直感として鮮明ではなく、見えるものを絵で表現している。ただ、「アスラを殺したやつがトキオを奪いにくる」とも予感している(23話/アスラ)。

自衛隊の制圧の際には石化状態から回復したトキオとトキオの子供とおそらく身を隠す。

その後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設と島で潜伏生活を送る(46話/猿渡照彦)。

 

トキオ

高原学園奈良施設の2期生。授業で使っているタブレットがバグったことがきっかけで、自分たちの住む学園の壁の外にも世界があるのかどうか気になり始めている(1話/トキオ)。コナと思いを寄せ合っていて、やがてコナとの子を妊娠していることが判明する(24話/A-mk3)。トキオは無事に子供を出産するが(30話/園長)、生んだ時1体だった新生児はしばらくすると2体となっている(35話/高原学園①)。

この2児を学園スタッフの猿渡が面倒を看ているが、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の足の裏に〇印をマーカーで描きつけて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のないあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化して仮死状態に入ってしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

トキオが2日間石化した状態の後、テロ攻撃から離脱し、仲間から光線銃で撃たれて瀕死の状態の戦士ヒルコが施設に舞い戻る。その戦士ヒルコはトキオがククと実験生物を覗きに行った時にトキオに気付いたヒルコで(11話/クク②)、すでに身体の組織のほとんどが崩壊して液状化しながら最期にトキオに向かって「お母さん」とつぶやく。するとトキオの石化状態が解消されて、トキオとあかちゃんが通常の状態に戻る。その一方で戦士ヒルコは完全に液化してしまう(41話/お迎えの日)。

その直後の自衛隊の施設制圧の際、おそらくコナとともに身を隠したトキオとあかちゃんはその後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活に入る(46話/猿渡照彦)。

 

タラオ

2期生。皮膚が黒ずんでいく病気を発症し死亡。黒いあざができて半年くらいで死んでしまう(トキオ談。23話/アスラ)。元気な頃のタラオは運動能力がずば抜けているタカでさえ持ち上げられない石を軽々と持ち上げていた。タラオはトキオに思いを寄せていたが、トキオはコナを好いているので最後にという思いのキスも拒否される。死を覚悟すると、タラオはトキオに「ここは危ないから逃げて」と言い残す(13話/タラオ①)。

タラオの遺灰には心臓のような核(マルがヒルコを殺す時に手で握りつぶしているもの)が残る。タラオの病気について猿渡は「もしもあらゆる免疫を備えて作られた体ゆえに発症したものなら全ての子供達に発症の可能性があります」と語っている(15話/タラオ③)。

 

ミミヒメ(星尾あかり)

2期生。耳が細長く先に毛が生えていて普段は犬のように垂れてほかの頭髪と紛れている。予知能力があり、先の出来事が視覚的に見えることがある。その一方で過去のことも視覚的に見えてくることもある。学園が攻撃された後、自衛隊に制圧され、保護される時のことも予知している(23話/アスラ)。その一方で、その後、自身がヒルコ化する病に冒され、マルに殺されることでヒルコ化から救われることも、夢やイメージでトキオに似た男の子に助けられることになると予知している(1話/トキオ)。

また、コナが将来ヒルコ化した時の姿も視覚として予見している(34話/稲崎露敏③)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとシロ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でミミヒメはシロ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したミミヒメは「星尾あかり」として生活を始める(43話/ミクラ②)。

 

シロ(宇佐美俊)

2期生。ミミヒメに思いを寄せている。機械や電機系や配線系の工作が得意(1話/トキオ)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとミミヒメ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でシロはミミヒメ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したシロは新しい名前をもらっているがあまり気に入っていない(43話/ミクラ②)。後にシロは「宇佐美俊」と名乗っている(19話/不滅教団②・49話/ミチカ①)。

 

アンズ(梅津乃亜)

2期生。踊りの才能が傑出している(15話・タラオ③)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとタカ、シロ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でアンズはタカ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したアンズは「梅津乃亜」として生活を始め、タカ(南方弥刀)と結婚する。宇佐美俊(シロ)と堀尾あかり(ミミヒメ)の立ち合いのもと、結婚を宣言するのは上野の高原学園施設でのことで、ここにはその後、キルコとマルが手掛かりを探しに訪れている。その後、弥刀と乃亜は俊とあかりたちと別れ、トトリを生む。その後、弥刀とトトリの近辺をさすらうヒルコは乃亜の成れの果てだ(26話/壁の町②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

 

タカ(南方弥刀)

2期生。異常な身体能力を持っている(1話/トキオ)。

学園が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとアンズ、シロ、ミミヒメと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でタカはアンズ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したタカは新しい名前をもらっていて、「南方弥刀」というもの(43話/ミクラ②)。

やがて、弥刀はアンズ(梅津乃亜)と結婚する。宇佐美俊(シロ)と堀尾あかり(ミミヒメ)の立ち合いのもと、結婚を宣言するのは上野の高原学園施設でのことで、ここにはその後、キルコとマルが手掛かりを探しに訪れている。その後、弥刀と乃亜は俊とあかりたちと別れ、トトリを生む。トトリを育てていた弥刀は偶然、ミチカとオーマに再会する。ミチカは近くに大きなヒルコの気配を感じ取っていてそれを殺したがっていて、弥刀も加わるように誘うが、弥刀はそのヒルコ(乃亜)を殺させるわけにはいかないとミチカと対決することになる。もともと弥刀は斬る念力を備えていて、かつてそれをミチカに無意識にやってしまい、それをコナに目撃されたこともあった。しかし、ミチカに間合いを見極められてしまい、殺されてしまう(23話/アスラ・26話/壁の町②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

 

※クク

3期生の生徒で俊敏で壁を這い上がれる能力を持つ。その能力でトキオを連れて学園内の立ち入り禁止区域にダクトから潜入し、実験生物(戦士ヒルコ)の「あかちゃん」をトキオに見せる(11話/クク②)。

自衛隊による施設制圧時にミチカとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡照彦、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ククはミチカとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。しかし、旅の途上でククは肌が黒ずんでいく病気を発症し、死んだら海に身体を流してほしいと語る(48話/復興省)。

その後、ククは死亡し、ミチカとオームは約束通り、波止場からククの身体を海に投じる。その後、ミチカとオームは偶然トトリを連れたタカ(南方弥刀)と遭遇する(49話/ミチカ①)。

海に葬られた後、ククは海中でかつてコナが描いた絵にそっくりなヒルコへと変身していく(52話/ミチカ④)。

両性具有である(45話/地の孤独②)。

 

 

※ミチカ(竹塚)

3期生。クク同様に異常な身体能力を誇る。自衛隊による施設制圧時にククとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ミチカはククとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。ミチカはヒルコと戦うのを生き甲斐にしているが、大きなヒルコについてはククと一緒でないと勝てないと認識している(48話/復興省)。

黒いあざの病気で死んだククを海に葬ったミチカとオーマは、トトリを育てていた弥刀(タカ)と偶然、再会する。ミチカは近くに大きなヒルコの気配を感じ取っていてそれを殺したがっていて、弥刀も加わるように誘うが、弥刀はそのヒルコ(乃亜)を殺させるわけにはいかないとミチカと対決することになる。もともと弥刀は斬る念力を備えていて、かつてそれをミチカに無意識にやってしまい、それをコナに目撃されたこともあった。しかし、ミチカはそれを見極め、弥刀のことを仕留めてみせる。手首を切り落とされてしまうが、目撃していたオーマがその手首を腕にくっつけてみせる。その現場でミチカとオーマは竹塚さんという女性に保護される。現在のミチカにはこの時の傷痕が手首と首に残されている。また、ミチカの視力は通常とは違ったものになっている。そのため、ミチカにはオーマの幻覚作用がまったく通用しない(23話/アスラ・26話/壁の町②・45話/地の孤独②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

その後、ヒルコと戦うのが好きな用心棒、「竹塚」として茨城の復興省で働いていて、ロビンの一味及びキルコとマルの身柄確保の依頼を受けて捜索に乗り出し、高原学園の旧奈良施設付近の奈良復興省施設でマルを食堂でみつけると格闘を始める(34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②・50話/ミチカ②)。

その独特な間合いでマルをのしてしまったミチカと茨城復興省の職員ふたりは奈良復興省施設から離れた場所で夜を過ごすが、翌日、ヒルコであるミチカの気配を索敵したマルにみつかり、マルから再度の果し合いを要求される。マルはその前日にミクラさんしか口にしたことのなかった「ヒルコ」という名称をミチカが口にしていたのが気になっていて、自分が勝負に勝ったらミクラさんについて教えろと要求する。ふたりは復興省から離れた町の倉庫で対決を始め、互角で死闘を繰り広げ、ふたりとも力尽きる(51話/ミチカ③・52話/ミチカ④)。

子供の頃の描写では男の子のようだが、両性具有で乳房もある(45話/地の孤独②)。

 

ナタ(三倉まなか・上仲詩乃)

4期生。施設が爆撃を受けた際、頭部に損傷を受け、意識不明となる(41話/お迎えの日)。

石化したトキオの身体に腕を巻き込まれた園長は猿渡に腕の切断手術を緊急でやらないと身体が壊死していくと告げられるが、その際、園長はさらに自分の脳をナタに移植手術するように命令する(46話/猿渡照彦)。

手術後のナタの身体とベッドは、自衛隊が施設を制圧した後に運び出され、豊中の病院へと移されていく。意識が戻るとナタは、同期生で保護されたマコとサクヤに何度も見舞われるがかつての自分の記憶を思い出すことができない。また、3人にはそれぞれに三倉まなか、堀さちお、八坂なのはという新しい名前も行政側から与えられる。しかし、新たに大災害の大地震に襲われるなかで、マコ(堀さちお)が置いていったリュックの中から光線銃の「スーパービーム」を見つけ、それをきっかけにナタは、園長(上仲詩乃)としての記憶を回復していく(42話/ミクラ①・43話/ミクラ②)。

園長の記憶が戻った「三倉」は大災害後の現状がまったく想定していた状況と違っていることに焦りながら、「さちお」と「なのは」を従えつつ、善処を図るため高原学園のAI、ミーナへのアクセスを試みる。最寄りの高原学園の分所で、ようやくミーナとのアクセスに成功するが、大災害の余波の地震でそれも失われてしまう。その後、三倉はさちおとなのはの3人でさまざまな店に押し入っては物品を収奪し、学園分所に集積させていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

マコ(堀さちお)

4期生。ナタと親しかった。高原学園の奈良施設が爆撃された後、手術を受けたナタの様子を見に行くと施設に舞い戻った瀕死の戦士ヒルコを目撃し、その戦士が落とした光線銃を拾う。マコはこれを自分のリュックにしまう。その直後に施設は自衛隊に制圧され、マコは身を隠しながらこのリュックを隠す。その後、昏睡状態のナタの身柄を自衛隊が保護すると、マコも自衛隊の指示に従って身柄を預け、サクヤなどそのほかの子供たちとともに保護される。マコのリュックは施設からの退避の際、ナタの持ち物としてナタと一緒に移動させられる。豊中で保護されてからナタとマコとサクヤはそれぞれに「三倉まなか」「堀さちお」「八坂なのは」と行政から新しい名前をもらう(41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

意識の戻った「三倉」が、実は移植されていた園長(上仲詩乃)の脳の記憶を回復してからは(43話/ミクラ②)、「さちお」は「なのは」とともにナタの行動に従っていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

オーマ

5期生。相手に幻覚を見させる力を持っていてその力を抑えるために特殊な眼鏡をかけている(31話/オーマ)。この自分の危険な能力との付き合い方を模索してくれたミミヒメのことを深く慕っている(34話・稲崎露敏③)。

施設が自衛隊に制圧されると、オーマはククやミチカに促され身を潜め、様子を窺うことにする(41話/お迎えの日)。

そのまま3人はコナ、トキオ、トキオの子供と猿渡、上仲永吉と施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、オーマはククとミチカとミミヒメを探しに旅に出ている。自分にちょっかいを出す人間は幻覚術で撃退しているが、オーマの能力はククやミチカによると人間には無敵だがヒルコ向きではないという(48話/復興省)。

ミチカとタカ(南方弥刀)との対決のあと、「竹塚さん」に保護される(50話/ミチカ②)

両性具有である(45話/地の孤独②)。

星尾あかり(ミミヒメ)が最後に息を引き取る不滅教団の地下駐車場に棲みついているヒルコはその身体の文様からしてオーマの成れの果てだ(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・22話/不滅教団⑤)。

ヒルコ化した後もオーマは人に幻覚を見させる力を発揮している(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③)。

『天国大魔境』キャラ別ファクトチェック(ネタバレ警告)23/04/23vers

※完全にネタバレ記事なのでまだきちんと『天国大魔境』を読んでいない方はまず読んでから再訪してください。

 

石黒正数の『天国大魔境』(月刊アフタヌーン連載。2018年1月~)がいよいよ佳境に迫ってきた様相。アニメも始まりました! 個人的には宮崎駿の漫画版『風の谷のナウシカ』以来のディストピアSF大作のようにも感じるし、テーマ的にも共通するところが多々あるように思う。伏線があまりにも張り巡らされているところもとても似ているし、場合によってはまだまだ続いていくことになるのかもしれない。

いずれにしても、物語があまりにも錯綜しているので自分の理解のためにも主要登場人物に則して出来事を整理してみました。

前回から新しく加筆した項目には※印がついています。

 

※キルコ

ミクラさんから託されたマルを「天国」へ連れて行くためボディガードを務めている。ミクラさんからはさらに光線銃「キル光線」(「スーパービーム」や「デス光線」とも呼ばれる)も護身用に託されている(7話/トマト天国)。

日本は「大災害」後、基本的に国家や社会の機能やインフラが崩壊したため、ふたりは食べ物や日用品を民家などで漁りながら旅している(2話/マル)。また、漁った本やCDなどを市場で売っている(13話/タラオ①)。

キルコは便利屋でもあることから「人食い」退治を請け負ったりもしているが、マルと組むことで「人食い」を確実に殺せるようになっている。マルと出会ってからはマルが「人食い」を「ヒルコ」と呼んでいることを知る(4話/ヒルコ①・5話/ヒルコ②)。

おそらくマルはミクラさんから「ヒルコ」と教えられている。

マルと出会うまでキルコは人食いを仮死状態にできただけで、確実に殺せたと実感できたことはなかった(14話/タラオ②)。

キルコは実は脳移植手術を受けていて、脳は弟の竹早春希のもので、身体は春希の姉、竹早桐子のものだ。春希は大災害の年には3歳、桐子は5歳だった。浅草の船山孤児院で育った春希は浅草の自警団の見習いをしていて、桐子は浅草で開催される電動カートレースの人気ドライバーだった。ある時、レース中のコースに人食いを発見した春希はこれを退散させようとするが、あえなく人食いに捕捉され、食べられ始めてしまう。これを目撃した桐子はカートで人食いに体当たりして、この衝撃に人食いは春希を口から落として退散する。その後、意識が戻った時、春希は桐子の身体の中で生きていた。診療所の看護婦たちは通常の手術をしただけだと理解しているが、執刀したのは自警団にも出入りしていた「先生」で、春希の脳を桐子の頭蓋骨に移す脳移植手術を施していた。「先生」はその手術後、浅草を去っていた。春希は下半身を人食いに食べられ、そのまま診療所で死亡したと理解されている。回復後、自警団を仕切っていたロビンがおそらく殺害され、船山孤児院は解散し、「先生」も行方をくらましたことを知る。その後、キルコは旅行や移動時のボディガード業を中心とする便利屋稼業を始め、中野に本拠地を移していたところ、ミクラさんからの依頼を受けることになった(8話/竹早桐子・9話/竹早春希・10話/クク①)。

こうした身体的な理由のため、キルコは通常に話している時は20歳ということになっているが(桐子の年齢。大災害時には5歳)、思い出や記憶の話をし始めると17歳になってしまう(春希の年齢。6話/タカ)。

その後、マルと「天国」への旅を続けながら、ロビンや先生の行方も探しているが、不滅教団でロビンが宇佐美の下で働いていたことを知る(21話/不滅教団④)。

さらに「天国」の関連施設を探すため訪れた茨城では、高原学園の遺伝子組換え植物の栽培工場を再利用して成功したロビンに再会する。しかし、ロビンに監禁され強姦されることになり、さらに再会した時のロビンの恐怖に近い驚愕の表情にも不可解さを覚える。やがてマルに救出されると、(春希にとって)憧れの人物だったロビンとの決別を決意し、高原学園のもうひとつの重要施設がある奈良に向かう。なお、ロビンとの話から、自分に手術を施した浅草の先生は「迫田」という名前だったことを知る(32話・稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③)。

キルコに手術を施した「先生」は猿渡(迫田)照彦で猿渡は奈良の復興省の近くで「迫田医院」を運営している。竹塚とマルの果し合いの後、医院を訪れたキルコは猿渡にどうして自分の移植手術を行ったのかと問い詰めると、猿渡は桐子の頭はすでに拳銃で撃ち抜かれていて、春希の脳を桐子の身体に移すしかなにかしらの救いようはなかったと説明する。つまり、春希が意識を失ってから桐子は誰かしらに銃撃されていて、その痕跡は確かにキルコの頭部にも残っていることにキルコは気付く。その一方猿渡は大災害後の人食い(ヒルコ)の生体実験については関わっていないとも説明した(53話/迫田照彦)。

 

※マル

大災害と同じ年に生まれた。最も古い記憶は3歳か4歳の頃。同じ年頃の子供たちと集団生活をしていて面倒を看てくれる大人もいっぱいいた。7歳くらいの頃にそこが解散しそれぞれに大人に連れられて離散。マルは身寄りのない子供たちとともに別な集団に属して資源漁りなどをして過ごす。その後集団間の競合で自分の集団のボスが殺されるとより大きな自警団に吸収された。そこへミクラさんが来て引き取られた。マルはヒルコを殺すやり方をミクラさんから教わる。「マルタッチ」ができるのはミクラさんの話ではマルだけで、だからこそ「天国」に行かなければいけないと言われていた(14話/タラオ②)。

また、マルはミクラさんから自分と同じ顔をした人物がもうひとりいるからその人物をみつけて薬を打てと薬を装填した注射器を託されている(7話/トマト天国)。

マルは異常な身体能力を誇っていて、喧嘩や格闘になったら常人では太刀打ちできないし、高所から飛び降りても特にダメージも受けない(13話/タラオ①・27話/壁の町③・16話/100%安全水)。

その異常な身体能力はマルが通常の人間ではないことをほのめかしている。

折られた永久歯もまた生えてきてしまう特異体質である(23話/アスラ)。

キルコと辿り着いた復興省の奈良施設で、茨城の復興省からマルとキルコの捜索依頼を受けていた竹塚(ミチカ)に発見されてしまう。マルをヒルコだと感じ取った竹塚はマルに襲い掛かり、ふたりの格闘が始まる(50話/ミチカ②)。

しかし、竹塚の間合いに手も足も出なかったマルは翌日、ヒルコである竹塚の気配から居場所を突き止め、再対決を仕掛け、「ヒルコ」という名称を前日口にした竹塚がミクラさんについてなにか知っているはずだと踏んで、勝負に勝ったらミクラさんについて教えろと強要し、ふたりの果し合いが始まる。ふたりは互角で死闘を繰り広げ、力尽きる(51話/ミチカ③・52話/ミチカ④)。

キルコのことが好きで何度も告白している(7話/トマト天国・34話/稲崎露敏③)。

 

 

稲崎露敏(ロビン)

キルコと同じ浅草の船山孤児院出身の兄貴的存在。竹早春希から竹早桐子への脳移植手術の後、孤児院も閉鎖され、ロビンは連続失踪事件の調査中に殺されたということになっている。しかし、キルコはマルと「天国」への旅をしながらロビンの探索も続けていて、その後、不滅教団の宇佐美の下でロビンが働いていたが、その後また姿を消したことがわかってくる(21話/不滅教団④)。

キルコとマルは依頼されて訪れた茨城(壁の町)から足を伸ばし、キルコが単身、高原学園茨城施設と思しき場所を訪れたところ、その施設は大災害前の文明を復興させようとしている復興省の施設、「大濾過装置」となっていて、そこでロビンと再会する(31話/オーマ)。

ロビンはキルコの姿を見て、春希の脳と桐子の身体という事実を知って驚愕しながらも、迫田ならできたかもと納得する。ロビンは浅草から姿をくらました迫田の行方を追っていたが見失ってしまい、浅草に戻った頃には船山孤児院も閉所になっていて、いろいろあったと振り返る。その後、宇佐美の下で2年間働いた後、廃墟となっていた高原学園茨城施設に移り、遺伝子組換え植物の実験栽培施設だった施設を再利用することに着手し、飲料水を大量に用意することにも成功。多くの住民を呼び込むことになり、復興省も地区の運営に関わることになった。こうした事情を説明した後、ロビンはキルコを風呂に入れ、その後服を奪って監禁し、数日にわたってキルコを凌辱する。しかし、数日経ってもキルコが戻らないためマルが施設を訪れ、キルコを救出する。浅草では腕を鳴らしたロビンも異常な格闘能力を持つマルによって一撃で叩きのめされる。その後、ロビンとロビンの部下を含めた4名は失踪する。復興省はロビンたちが施設で人体実験らしきことを行っていた現場を発見する。復興省は任務放棄と重要機密持ち出しの容疑でロビンたちを指名手配し、おそらく奈良に向かったキルコとマルもロビンたちの逃走を幇助したとして手配する(32話/稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②)。

 

※先生(猿渡照彦)

キルコが脳移植手術を受けた当時、浅草のロビンの自警団などに出入りしていて、竹早春希から竹早桐子への脳移植を執刀した医師。隠れて人食いの研究や人体実験をやっているという噂が立っていた。額に大きな傷の跡がある(8話/竹早桐子)。キルコの脳移植手術を済ませるとそのまますぐに浅草を後にして行方をくらましている。キルコは旅の途上、ロビンだけではなくこの先生の行方も追っている。キルコが復興省の大濾過装置でロビンと再会すると、ロビンは先生のことを「迫田」と言い及ぶ(32話/稲崎露敏①)。その後、キルコは奈良復興省の幹部、「ダンビラの旦那」から「迫田先生」のことを聞きつけ、「先生」が奈良の復興省付近にいることを突き止める(この先は「猿渡照彦」の項目参照のこと)。

 

ミクラさん(三倉まなか・ナタ・上仲詩乃)

マルをキルコに託して死亡していった女性。キルコには「天国」へ連れて行ってとだけ伝えてこと切れている。また、光線銃(キルコによれば「キル光線」、ミクラさんによれば「スーパービーム」)を護身用にキルコに託す。その一方でミクラさんはマルに「マルタッチ」によるヒルコの殺し方を伝授していて、これはマルにしかできないからこそ「天国」に行かなければならないとマルに伝えていて、本来はふたりで「天国」を目指していたと思われる。また、マルにマルと同じ顔をした人物がもうひとりいるから、その人物にこの薬を打てと、薬入りの注射のキットも託すことになった。ミクラさんはキルコにマルを託すと、そのまま、身体が黒いあざで覆われる病気の症状をみせながら死亡した(7話/トマト天国・14話/タラオ②)。

 

トトリ(ホテル王)

キルコとマルが旅の途上で出会った宿の支配人。ヒルコと同じ形状の心臓のような核を持っている。生まれたのは大災害の2年後で13歳。気が付いた時には自警団に育てられていて、現在は自警団と連携しながら宿泊業を運営している(17話/トトリ)。

トトリの両親は高原学園の施設への政府の爆撃後、高原学園のスタッフ、青島裕子によって脱出させられた学園の児童、タカとアンズだ。タカとアンズは脱出後、社会復帰するにあたってそれぞれ南方弥刀(みと)、梅津乃亜という名乗ることになる。大災害後、弥刀と乃亜は宇佐美俊(シロ)と星尾あかり(ミミヒメ)と行動をともにして上野に拠点を置いていたが、結婚を決意し、宇佐美たちと別れることになる。その後、トトリを出産した後、弥刀はひとりでトトリを育てていたが、偶然ミチカやオーマと再会する。ミチカは近隣に徘徊している、乃亜のなれの果てのヒルコを殺したがっていて、それを阻止するため弥刀はミチカと対決することになり、その対決の前にトトリを託児所の前に置いていく(49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)

 

宇佐美俊(シロ)

不滅教団を率いる医師とされているが、自身は医師ではない。ビルの発電設備などを利用してパートナーの星尾あかりの延命措置を続けている。星尾はヒルコ化する病気を発症していて、死亡するとヒルコになってしまうため宇佐美はさまざまな機材を使って星尾を延命させている。また、義体を制作できるため、多くの患者や支援者が宇佐美のもとに集まっていて、それが不滅教団と呼ばれている。また不滅教団が根城としているビルの地下駐車場にはヒルコが生息していることで知られている。宇佐美はマルに星尾がヒルコ化する前に「マルタッチ」で殺してほしいと依頼し、星尾を安楽死させる。その後、宇佐美は星尾を抱きかかえたまま自殺する(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・21話/不滅教団④・22話/不滅教団⑤)。

宇佐美は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の施設で生活していた。それまではシロと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「宇佐美」となった(43話/ミクラ②)。

 

星尾あかり(ミミヒメ)

ヒルコ化する病気を発症しながらも、患部を摘出しながら延命を続ける措置でヒルコ化していない女性。パートナーの宇佐美俊が面倒を看ている。ヒルコと同じ心臓のような核を持っている。四肢と目も失われているが片目は宇佐美から移植されたもの。宇佐美はマルに「マルタッチ」で星尾を殺すように依頼するが、星尾もそれを了解している(20話/不滅教団③・21話/不滅教団④)。

星尾は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の施設で生活していた。それまではミミヒメと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「星尾あかり」となった(43話/ミクラ②)。

 

ジューイチ

情報屋。かつて「壁の町」と呼ばれる女性支配コミュニティで10年間、「種豚」として飼育され、かつ使役されていた。名前は「種豚11号」という呼称にちなんでいて、肩には「11」の刺青も彫られている。壁の町の女性カップルから頻繁にセックスの相手を命じられ、そのうちのひとりが妊娠して出産するが、男児だったため、その乳児は「種豚」としてコミュニティには受け入れられず、種豚が育てることになる。女性カップルふたりは男児とジューイチとコミュニティからの脱走を図るが発覚し、女性カップルふたりは捕まって絞首刑となる。ジューイチはかろうじて逃げおおせてその後、情報屋として生活している(25話/壁の町①)。

ジューイチは高原学園分室ビルの前で出会ったキルコとマルに、壁の町に息子がいるかどうか潜入して確認してほしいと依頼する。キルコとマルは壁の町が「イバラキ」付近にあることから、いったん様子を見てやれそうならやると請け負う。本当の動機は、その近辺におそらく「天国」と関係する、高原学園の茨城施設があるはずだと踏んでいたからだ。しかし、壁の町は冷気を発するヒルコの根城となっていて、おそらくそこに住んでいた人たちはすべてこのヒルコに食い散らかされたと判明する。その報告をジューイチにしていたところ、偶然、ジューイチとともに壁の町で使役されていたかつての「種豚」の男性らと再会する。元種豚男性たちは共同生活を送っていて、そこにはジューイチの息子、十五もいた。元種豚6号によると、壁の町にヒルコが来襲した夜、十五が激しく夜泣きをしたため、種豚たちは全員目を覚まし、異変に気付いて脱出することができたのだという。息子と再会したジューイチはキルコとマルにこれまで自分が移動に使っていたバンを報酬として譲る。その後、ジューイチは元種豚男性のうちの脱走発覚時の密告者を殺害し、十五だけを連れて元種豚共同体の車を奪って共同生活所から出奔する(26話/壁の町②-29話/壁の町⑤)。

 

十五

ジューイチとかつての壁の町の女性との間に生まれた男児。その後、壁の町で使役されていた元種豚男性たちの共同生活所で育てられていた。しかし、そこにキルコとマルが訪れた夜にすさまじい冷気に共同生活所は覆われ、マルはダイブ(マルタッチ)せずとも十五がヒルコであることを看破する(29話/壁の町⑤)。

おそらく絞首刑になった十五の母親もまたヒルコの心臓のような核を持った人物で、壁の町を襲った冷気のヒルコはその母親が絞首刑で死んだ後、ヒルコ化したものだと思われる。十五の母親とそのパートナーは、高原学園の施設で女子同士でスキンシップと性徴期を深めていたナナキとイワ(11話/クク②)かもしれない。

 

地獄夢(ヘルム、本名: 怜夢)

キルコとマルが旅の途中、浜松付近で出会った女子。6年前に避難所で性暴力を受けたが、その犯人として似たような容貌の男性が捕まり、避難所の掟により、右腕を切り落とされてしまう。しかし、その直後に避難所で真犯人と出くわしてしまい、怜夢は罪の意識から自分の右腕も切り落としてしまう。その後、復讐のために真犯人を探していたが、ちょうどキルコとマルと出会った浜松の近くの空港で真犯人が生活していることを突き止める。キルコとマルの助力をえながら、ヘルムは真犯人に二度と性暴力を働かせないため、義手に仕込んだ小型爆弾で真犯人の股間を吹っ飛ばしてみせる(38話/地獄の夢①-40話/地獄の夢③・45話/地の孤独②)。

 

神社のおばさん

山中の神社を守る一家の家長。山道を走行中、キルコとマルは熊の毛皮を被った「熊野郎」をバンで轢いてしまい、自宅へ送り届けるとそこがこの神社だった。「熊野郎」の祖母だというおばさんは一晩泊まっていくように勧めるが、決して神社の敷地を出ないように言いつける。敷地の外に暮らしている子供たちに外の人間を目撃させないためだという。また、村落の住人はほかには残っておらず、自分たち一家だけがまだ残っているという。その一方で、キルコとマルは敷地内の地下蔵で鎖に縛られたヒルコを発見する。マルのダイブで心臓はからからになっているが、かろうじて生きていると判明する。しかし、おばさんは、これは江戸時代から伝わっている「鬼」だと言い張る。翌日、キルコとマルは「熊野郎」から浜名湖づたいに車を走らせているうちに山中に迷い込んだのだろうと教えてもらい、目指す奈良への道筋を教えてもらう。なお、地下蔵の入り口には不思議な図案が記されてあるが、この一家が近親相姦を続けていることを示している。もし、マルがヒルコと知覚し、おばさんが「鬼」と呼ぶ怪物が昔から存在しているのなら、そのことと近親相姦は関係しているのかもしれない。自分たちの家族のなかにヒルコ化してしまう家族の一員がいるのなら、外の家族と婚姻関係は結べないからだ。また、この一家の誰かが園長(上仲詩乃)と出資者の今永美咲とミーナによるヒルコ開発計画の際、精子もしくは卵子の4人の提供者として関わった可能性も考えられる。この土地にこだわって留まることをおばさんは「ちのこどく」とたとえ、それをキルコは「地の孤独」と解釈したが、おばさんは「血の孤独」と言っていたのかもしれない(44話/地の孤独①・45話/地の孤独②・47話/上仲詩乃)。

 

上仲詩乃(園長)

高原学園園長。地球と小惑星衝突(大災害)を予見し、それに備えるため学園を1995年に設立した。学園を支えるのは地球と小惑星衝突を予想したAIのミーナで、このミーナを使って園長は「完全な免疫を備えた」子供たちを4人から採取した卵子精子を使って生み出す構想を実現させていく。子供たちは学園の規定では「ヒルコ」ということになっている(35話/高原学園①・47話/上仲詩乃)。

さらに学園では戦士としてのヒルコも開発していて、これはテロなどに投入するためだ(41話・お迎えの日)。

政府は小惑星との衝突を避けるためその軌道を変えるロケット迎撃構想を進めているが、学園としては小惑星衝突を実現させたいため、このロケット施設をヒルコ戦士隊に攻撃させ破壊してみせた。しかし、このテロ攻撃については園長やAI開発チーム以外の、青島裕子や猿渡照彦らのスタッフには知らされていない(39話/地獄の夢②・41話/お迎えの日・46話/猿渡照彦)。

このテロ攻撃の結果、学園はテロ組織として政府から追及され、政府から爆撃を受けた後、自衛隊によって制圧されることになる(36話/高原学園②・41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

しかし、猿渡にナタへの自分の脳の移植を命じた園長はナタの身体として自衛隊に保護され、施設からの脱出に成功する。その後、大災害の衝撃のなかで、ナタは園長としての記憶を蘇らせていく(42話/ミクラ・43話/ミクラ②・46話/猿渡照彦)。

 

※猿渡照彦(迫田照彦)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長にと目されていたが、青島裕子に先を越されてしまう。しかし、園長からは最大の心腹を置かれている。園長の、いずれ青島の身体に自分の脳を移植させ、さらに将来的にはトキオの子供にまた自分の脳を移植させ、ヒルコたちの活躍を見届けたいという野望に疑問を感じている(30話/園長)。

こうした疑問から猿渡はおそらく、出産したトキオには本当の子供を引き渡さなければならないと決意し、トキオの子供のクローンを生み出したのかもしれない。

いずれにしても、猿渡はトキオの子供の世話を担当していて、出産した時はひとりだったトキオの子供はいつの間にかふたりになっている(35話/高原学園①・37話/高原学園③)。

その後、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、トキオのふたりの子供のうち、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の子供の足の裏に〇印をマーカーで描いて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のない方のあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化してしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう。また、爆撃の際、猿渡は額に大きな傷を負う(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

石化したトキオの身体に巻き込まれた園長の腕がこのままだと壊死して身体に拡がるため、猿渡は両腕の切断手術を緊急でやる必要性を説くが、この時、園長はさらに自分の脳を、爆撃で意識不明になった4期生のナタに移植手術するように猿渡に命令し、この事実は学園幹部の自分の夫(上仲永吉)にも話すなと命じる(46話・猿渡照彦)。

爆撃の後、施設は自衛隊に制圧されるが、猿渡は身を潜め投降せず、同じように身を潜めていた上仲永吉、コナ、トキオ、トキオの子、クク、オーム、ミチカとで施設で潜伏生活を続ける(46話・猿渡照彦)。

爆撃の際、額に負った傷は大きな傷跡として残っている(46話・猿渡照彦)。また、猿渡は母方の姓で本名は迫田である(47話/上仲詩乃)。また青島裕子の母親(今永美咲)は叔母にあたるのかもしれない(46話・猿渡照彦)。

その後、猿渡は奈良の復興省の近くで「迫田医院」を運営しているが、復興省をマルと訪れたキルコはそのことを探り当てる。竹塚とマルの果し合いの後、医院を訪れたキルコは猿渡にどうして移植手術を行ったのかと問い詰めると、猿渡は桐子の頭はすでに拳銃で撃ち抜かれていて、春希の脳を桐子の身体に移すしかなにかしらの救いようがなかったと説明する。その一方で、キルコの追及に対して、猿渡は大災害後の人食い(ヒルコ)の生体実験については関わっていないとも説明した(53話/迫田照彦)。

 

※青島裕子(今永美月)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長に昇格しているが、施設の子供たちを保護する計画を練っている。施設が爆撃に遭うと、その混乱に応じてその計画を実行に移すことを決意する。施設の外壁が壊れて外部に通じる隙間が出来たことと、生徒5人の点呼が取れていないことを踏まえて施設の外へ捜索に出かけ、外を探索していたミミヒメ、シロ、アンズ、タカの4人を発見し保護する。そのまま青島は4人を施設のある奈良県からボートで脱出させ保護することを決行する(37話/高原学園③・38話/地獄の夢①・39話/地獄の夢②)。

青島裕子は偽名で、本名は今永美月。1995年に設立した学園に出資し続けた今永美咲の娘(47話/上仲詩乃)。

大災害後は奈良の復興省で「今永主任」となっている(52話/ミチカ④)。

 

 

アスラ

高原学園奈良施設の1期生。傷を癒したり、テレパシーを使ったり、未来を予測するなど、超常的な能力を持っている。自分が生まれた理由がわかったからと同じ1期生のコナに説明して自殺する。自殺する際、背中から戦士ヒルコのような羽を生やして空中を飛び、学校の施設の天井から首をくくってしまう(23話/アスラ)。

 

コナ

高原学園奈良施設の1期生。アスラの自殺後は唯一の1期生。さまざまな不気味な生物の絵を描いているが(1話/トキオ)、そうした絵の1部が15年後にはヒルコとして実体化していることも判明する(10話/クク①)。その後、トキオと親密になり、トキオの妊娠が判明する(24話/A-mk3)。コナは予知能力がありつつも、アスラやミミヒメのようにイメージや直感として鮮明ではなく、見えるものを絵で表現している。ただ、「アスラを殺したやつがトキオを奪いにくる」とも予感している(23話/アスラ)。

自衛隊の制圧の際には石化状態から回復したトキオとトキオの子供とおそらく身を隠す。

その後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設と島で潜伏生活を送る(46話/猿渡照彦)。

 

トキオ

高原学園奈良施設の2期生。授業で使っているタブレットがバグったことがきっかけで、自分たちの住む学園の壁の外にも世界があるのかどうか気になり始めている(1話/トキオ)。コナと思いを寄せ合っていて、やがてコナとの子を妊娠していることが判明する(24話/A-mk3)。トキオは無事に子供を出産するが(30話/園長)、生んだ時1体だった新生児はしばらくすると2体となっている(35話/高原学園①)。

この2児を学園スタッフの猿渡が面倒を看ているが、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の足の裏に〇印をマーカーで描きつけて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のないあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化して仮死状態に入ってしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

トキオが2日間石化した状態の後、テロ攻撃から離脱し、仲間から光線銃で撃たれて瀕死の状態の戦士ヒルコが施設に舞い戻る。その戦士ヒルコはトキオがククと実験生物を覗きに行った時にトキオに気付いたヒルコで(11話/クク②)、すでに身体の組織のほとんどが崩壊して液状化しながら最期にトキオに向かって「お母さん」とつぶやく。するとトキオの石化状態が解消されて、トキオとあかちゃんが通常の状態に戻る。その一方で戦士ヒルコは完全に液化してしまう(41話/お迎えの日)。

その直後の自衛隊の施設制圧の際、おそらくコナとともに身を隠したトキオとあかちゃんはその後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活に入る(46話/猿渡照彦)。

 

タラオ

2期生。皮膚が黒ずんでいく病気を発症し死亡。黒いあざができて半年くらいで死んでしまう(トキオ談。23話/アスラ)。元気な頃のタラオは運動能力がずば抜けているタカでさえ持ち上げられない石を軽々と持ち上げていた。タラオはトキオに思いを寄せていたが、トキオはコナを好いているので最後にという思いのキスも拒否される。死を覚悟すると、タラオはトキオに「ここは危ないから逃げて」と言い残す(13話/タラオ①)。

タラオの遺灰には心臓のような核(マルがヒルコを殺す時に手で握りつぶしているもの)が残る。タラオの病気について猿渡は「もしもあらゆる免疫を備えて作られた体ゆえに発症したものなら全ての子供達に発症の可能性があります」と語っている(15話/タラオ③)。

 

ミミヒメ(星尾あかり)

2期生。耳が細長く先に毛が生えていて普段は犬のように垂れてほかの頭髪と紛れている。予知能力があり、先の出来事が視覚的に見えることがある。その一方で過去のことも視覚的に見えてくることもある。学園が攻撃された後、自衛隊に制圧され、保護される時のことも予知している(23話/アスラ)。その一方で、その後、自身がヒルコ化する病に冒され、マルに殺されることでヒルコ化から救われることも、夢やイメージでトキオに似た男の子に助けられることになると予知している(1話/トキオ)。

また、コナが将来ヒルコ化した時の姿も視覚として予見している(34話/稲崎露敏③)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとシロ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でミミヒメはシロ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したミミヒメは「星尾あかり」として生活を始める(43話/ミクラ②)。

 

シロ(宇佐美俊)

2期生。ミミヒメに思いを寄せている。機械や電機系や配線系の工作が得意(1話/トキオ)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとミミヒメ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でシロはミミヒメ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したシロは新しい名前をもらっているがあまり気に入っていない(43話/ミクラ②)。後にシロは「宇佐美俊」と名乗っている(19話/不滅教団②・49話/ミチカ①)。

 

アンズ(梅津乃亜)

2期生。踊りの才能が傑出している(15話・タラオ③)。

学園施設が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとタカ、シロ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でアンズはタカ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したアンズは「梅津乃亜」として生活を始め、タカ(南方弥刀)と結婚する。宇佐美俊(シロ)と堀尾あかり(ミミヒメ)の立ち合いのもと、結婚を宣言するのは上野の高原学園施設でのことで、ここにはその後、キルコとマルが手掛かりを探しに訪れている。その後、弥刀と乃亜は俊とあかりたちと別れ、トトリを生む。その後、弥刀とトトリの近辺をさすらうヒルコは乃亜の成れの果てだ(26話/壁の町②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

 

タカ(南方弥刀)

2期生。異常な身体能力を持っている(1話/トキオ)。

学園が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとアンズ、シロ、ミミヒメと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でタカはアンズ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したタカは新しい名前をもらっていて、「南方弥刀」というもの(43話/ミクラ②)。

やがて、弥刀はアンズ(梅津乃亜)と結婚する。宇佐美俊(シロ)と堀尾あかり(ミミヒメ)の立ち合いのもと、結婚を宣言するのは上野の高原学園施設でのことで、ここにはその後、キルコとマルが手掛かりを探しに訪れている。その後、弥刀と乃亜は俊とあかりたちと別れ、トトリを生む。トトリを育てていた弥刀は偶然、ミチカとオーマに再会する。ミチカは近くに大きなヒルコの気配を感じ取っていてそれを殺したがっていて、弥刀も加わるように誘うが、弥刀はそのヒルコ(乃亜)を殺させるわけにはいかないとミチカと対決することになる。もともと弥刀は斬る念力を備えていて、かつてそれをミチカに無意識にやってしまい、それをコナに目撃されたこともあった。しかし、ミチカに間合いを見極められてしまい、殺されてしまう(23話/アスラ・26話/壁の町②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

 

※クク

3期生の生徒で俊敏で壁を這い上がれる能力を持つ。その能力でトキオを連れて学園内の立ち入り禁止区域にダクトから潜入し、実験生物(戦士ヒルコ)の「あかちゃん」をトキオに見せる(11話/クク②)。

自衛隊による施設制圧時にミチカとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡照彦、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ククはミチカとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。しかし、旅の途上でククは肌が黒ずんでいく病気を発症し、死んだら海に身体を流してほしいと語る(48話/復興省)。

その後、ククは死亡し、ミチカとオームは約束通り、波止場からククの身体を海に投じる。その後、ミチカとオームは偶然トトリを連れたタカ(南方弥刀)と遭遇する(49話/ミチカ①)。

海に葬られた後、ククは海中でかつてコナが描いた絵にそっくりなヒルコへと変身していく(52話/ミチカ④)。

両性具有である(45話/地の孤独②)。

 

 

※ミチカ(竹塚)

3期生。クク同様に異常な身体能力を誇る。自衛隊による施設制圧時にククとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ミチカはククとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。ミチカはヒルコと戦うのを生き甲斐にしているが、大きなヒルコについてはククと一緒でないと勝てないと認識している(48話/復興省)。

黒いあざの病気で死んだククを海に葬ったミチカとオーマは、トトリを育てていた弥刀(タカ)と偶然、再会する。ミチカは近くに大きなヒルコの気配を感じ取っていてそれを殺したがっていて、弥刀も加わるように誘うが、弥刀はそのヒルコ(乃亜)を殺させるわけにはいかないとミチカと対決することになる。もともと弥刀は斬る念力を備えていて、かつてそれをミチカに無意識にやってしまい、それをコナに目撃されたこともあった。しかし、ミチカはそれを見極め、弥刀のことを仕留めてみせる。手首を切り落とされてしまうが、目撃していたオーマがその手首を腕にくっつけてみせる。その現場でミチカとオーマは竹塚さんという女性に保護される。現在のミチカにはこの時の傷痕が手首と首に残されている。また、ミチカの視力は通常とは違ったものになっている。そのため、ミチカにはオーマの幻覚作用がまったく通用しない(23話/アスラ・26話/壁の町②・45話/地の孤独②・49話/ミチカ①・50話/ミチカ②)。

その後、ヒルコと戦うのが好きな用心棒、「竹塚」として茨城の復興省で働いていて、ロビンの一味及びキルコとマルの身柄確保の依頼を受けて捜索に乗り出し、高原学園の旧奈良施設付近の奈良復興省施設でマルを食堂でみつけると格闘を始める(34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②・50話/ミチカ②)。

その独特な間合いでマルをのしてしまったミチカと茨城復興省の職員ふたりは奈良復興省施設から離れた場所で夜を過ごすが、翌日、ヒルコであるミチカの気配を索敵したマルにみつかり、マルから再度の果し合いを要求される。マルはその前日にミクラさんしか口にしたことのなかった「ヒルコ」という名称をミチカが口にしていたのが気になっていて、自分が勝負に勝ったらミクラさんについて教えろと要求する。ふたりは復興省から離れた町の倉庫で対決を始め、互角で死闘を繰り広げ、ふたりとも力尽きる(51話/ミチカ③・52話/ミチカ④)。

子供の頃の描写では男の子のようだが、両性具有で乳房もある(45話/地の孤独②)。

 

ナタ(三倉まなか・上仲詩乃)

4期生。施設が爆撃を受けた際、頭部に損傷を受け、意識不明となる(41話/お迎えの日)。

石化したトキオの身体に腕を巻き込まれた園長は猿渡に腕の切断手術を緊急でやらないと身体が壊死していくと告げられるが、その際、園長はさらに自分の脳をナタに移植手術するように命令する(46話/猿渡照彦)。

手術後のナタの身体とベッドは、自衛隊が施設を制圧した後に運び出され、豊中の病院へと移されていく。意識が戻るとナタは、同期生で保護されたマコとサクヤに何度も見舞われるがかつての自分の記憶を思い出すことができない。また、3人にはそれぞれに三倉まなか、堀さちお、八坂なのはという新しい名前も行政側から与えられる。しかし、新たに大災害の大地震に襲われるなかで、マコ(堀さちお)が置いていったリュックの中から光線銃の「スーパービーム」を見つけ、それをきっかけにナタは、園長(上仲詩乃)としての記憶を回復していく(42話/ミクラ①・43話/ミクラ②)。

園長の記憶が戻った「三倉」は大災害後の現状がまったく想定していた状況と違っていることに焦りながら、「さちお」と「なのは」を従えつつ、善処を図るため高原学園のAI、ミーナへのアクセスを試みる。最寄りの高原学園の分所で、ようやくミーナとのアクセスに成功するが、大災害の余波の地震でそれも失われてしまう。その後、三倉はさちおとなのはの3人でさまざまな店に押し入っては物品を収奪し、学園分所に集積させていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

マコ(堀さちお)

4期生。ナタと親しかった。高原学園の奈良施設が爆撃された後、手術を受けたナタの様子を見に行くと施設に舞い戻った瀕死の戦士ヒルコを目撃し、その戦士が落とした光線銃を拾う。マコはこれを自分のリュックにしまう。その直後に施設は自衛隊に制圧され、マコは身を隠しながらこのリュックを隠す。その後、昏睡状態のナタの身柄を自衛隊が保護すると、マコも自衛隊の指示に従って身柄を預け、サクヤなどそのほかの子供たちとともに保護される。マコのリュックは施設からの退避の際、ナタの持ち物としてナタと一緒に移動させられる。豊中で保護されてからナタとマコとサクヤはそれぞれに「三倉まなか」「堀さちお」「八坂なのは」と行政から新しい名前をもらう(41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

意識の戻った「三倉」が、実は移植されていた園長(上仲詩乃)の脳の記憶を回復してからは(43話/ミクラ②)、「さちお」は「なのは」とともにナタの行動に従っていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

オーマ

5期生。相手に幻覚を見させる力を持っていてその力を抑えるために特殊な眼鏡をかけている(31話/オーマ)。この自分の危険な能力との付き合い方を模索してくれたミミヒメのことを深く慕っている(34話・稲崎露敏③)。

施設が自衛隊に制圧されると、オーマはククやミチカに促され身を潜め、様子を窺うことにする(41話/お迎えの日)。

そのまま3人はコナ、トキオ、トキオの子供と猿渡、上仲永吉と施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、オーマはククとミチカとミミヒメを探しに旅に出ている。自分にちょっかいを出す人間は幻覚術で撃退しているが、オーマの能力はククやミチカによると人間には無敵だがヒルコ向きではないという(48話/復興省)。

ミチカとタカ(南方弥刀)との対決のあと、「竹塚さん」に保護される(50話/ミチカ②)

両性具有である(45話/地の孤独②)。

星尾あかり(ミミヒメ)が最後に息を引き取る不滅教団の地下駐車場に棲みついているヒルコはその身体の文様からしてオーマの成れの果てだ(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・22話/不滅教団⑤)。

ヒルコ化した後もオーマは人に幻覚を見させる力を発揮している(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③)。

『天国大魔境』キャラ別ファクトチェック(ネタバレ警告)

※完全にネタバレ記事なのでまだきちんと『天国大魔境』を読んでいない方はまず読んでから再訪してください。

 

石黒正数の『天国大魔境』(月刊アフタヌーン連載。2018年1月~)がいよいよ佳境に迫ってきた様相。個人的には宮崎駿の漫画版『風の谷のナウシカ』以来のディストピアSF大作のようにも感じるし、テーマ的にも共通するところが多々あるように思う。伏線があまりにも張り巡らされているところもとても似ているし、場合によってはまだまだ続いていくことになるのかもしれない。

いずれにしても、物語があまりにも錯綜しているので自分の理解のためにも主要登場人物に則して出来事を整理してみました。

 

キルコ

ミクラさんから託されたマルを「天国」へ連れて行くためボディガードを務めている。ミクラさんからはさらに光線銃「キル光線」(「スーパービーム」や「デス光線」とも呼ばれる)も護身用に託されている(7話/トマト天国)。

日本は「大災害」後、基本的に国家や社会の機能やインフラが崩壊したため、ふたりは食べ物や日用品を民家などで漁りながら旅している(2話/マル)。また、漁った本やCDなどを市場で売っている(13話/タラオ①)。

キルコは便利屋でもあることから「人食い」退治を請け負ったりもしているが、マルと組むことで「人食い」を確実に殺せるようになっている。マルと出会ってからはマルが「人食い」を「ヒルコ」と呼んでいることを知る(4話/ヒルコ①・5話/ヒルコ②)。

おそらくマルはミクラさんから「ヒルコ」と教えられている。

マルと出会うまでキルコは人食いを仮死状態にできただけで、確実に殺せたと実感できたことはなかった(14話/タラオ②)。

キルコは実は脳移植手術を受けていて、脳は弟の竹早春希のもので、身体は春希の姉、竹早桐子のものだ。春希は大災害の年には3歳、桐子は5歳だった。浅草の船山孤児院で育った春希は浅草の自警団の見習いをしていて、桐子は浅草で開催される電動カートレースの人気ドライバーだった。ある時、レース中のコースに人食いを発見した春希はこれを退散させようとするが、あえなく人食いに捕捉され、食べられ始めてしまう。これを目撃した桐子はカートで人食いに体当たりして、この衝撃に人食いは春希を口から落として退散する。その後、意識が戻った時、春希は桐子の身体の中で生きていた。診療所の看護婦たちは通常の手術をしただけだと理解しているが、執刀したのは自警団にも出入りしていた「先生」で、春希の脳を桐子の頭蓋骨に移す脳移植手術を施していた。「先生」はその手術後、浅草を去っていた。春希は下半身を人食いに食べられ、そのまま診療所で死亡したと理解されている。キルコは回復後、自警団を仕切っていたロビンがおそらく殺害され、船山孤児院は解散し、「先生」も行方をくらましたことを知る。その後、キルコは旅行や移動時のボディガード業を中心とする便利屋稼業を始め、中野に本拠地を移していたところ、ミクラさんからの依頼を受けることになった(8話/竹早桐子・9話/竹早春希・10話/クク①)。

こうした身体的な理由のため、キルコは通常に話している時は20歳ということになっているが(桐子の年齢。大災害時には5歳)、思い出や記憶の話をし始めると17歳になってしまう(春希の年齢。6話/タカ)。

その後、マルと「天国」への旅を続けながら、ロビンや先生の行方も探しているが、不滅教団でロビンが宇佐美の下で働いていたことを知る(21話/不滅教団④)。

さらに「天国」の関連施設を探すため訪れた茨城では、高原学園の遺伝子組換え植物の栽培工場を再利用して成功したロビンに再会する。しかし、ロビンに監禁され強姦されることになり、さらに再会した時のロビンの恐怖に近い驚愕の表情にも不可解さを覚える。やがてマルに救出されると、(春希にとって)憧れの人物だったロビンとの決別を決意し、高原学園のもうひとつの重要施設がある奈良に向かう。なお、ロビンとの話から、自分に手術を施した浅草の先生は「迫田」という名前だったことを知る(32話・稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③)。

 

マル

大災害と同じ年に生まれた。最も古い記憶は3歳か4歳の頃。同じ年頃の子供たちと集団生活をしていて面倒を看てくれる大人もいっぱいいた。7歳くらいの頃にそこが解散しそれぞれに大人に連れられて離散。マルは身寄りのない子供たちとともに別な集団に属して資源漁りなどをして過ごす。その後集団間の競合で自分の集団のボスが殺されるとより大きな自警団に吸収された。そこへミクラさんが来て引き取られた。マルはヒルコを殺すやり方をミクラさんから教わる。「マルタッチ」ができるのはミクラさんの話ではマルだけで、だからこそ「天国」に行かなければいけないと言われていた(14話/タラオ②)。

また、マルはミクラさんから自分と同じ顔をした人物がもうひとりいるからその人物をみつけて薬を打てと薬を装填した注射器を託されている(7話/トマト天国)。

マルは異常な身体能力を誇っていて、喧嘩や格闘になったら常人では太刀打ちできないし、高所から飛び降りても特にダメージも受けない(13話/タラオ①・27話/壁の町③・16話/100%安全水)。

その異常な身体能力はマルが通常の人間ではないことをほのめかしている。

折られた永久歯もまた生えてきてしまう特異体質である(23話/アスラ)。

キルコのことが好きで何度も告白している(7話/トマト天国・34話/稲崎露敏③)。

 

稲崎露敏(ロビン)

キルコと同じ浅草の船山孤児院出身の兄貴的存在。竹早春希から竹早桐子への脳移植手術の後、孤児院も閉鎖され、ロビンは連続失踪事件の調査中に殺されたということになっている。しかし、キルコはマルと「天国」への旅をしながらロビンの探索も続けていて、その後、不滅教団の宇佐美の下でロビンが働いていたが、その後また姿を消したことがわかってくる(21話/不滅教団④)。

キルコとマルは依頼されて訪れた茨城(壁の町)から足を伸ばし、キルコが単身、高原学園茨城施設と思しき場所を訪れたところ、その施設は大災害前の文明を復興させようとしている復興省の施設、「大濾過装置」となっていて、そこでロビンと再会する(31話/オーマ)。

ロビンはキルコの姿を見て、春希の脳と桐子の身体という事実を知って驚愕しながらも、迫田ならできたかもと納得する。ロビンは浅草から姿をくらました迫田の行方を追っていたが見失ってしまい、浅草に戻った頃には船山孤児院も閉所になっていて、いろいろあったと振り返る。その後、宇佐美の下で2年間働いた後、廃墟となっていた高原学園茨城施設に移り、遺伝子組換え植物の実験栽培施設だった施設を再利用することに着手し、飲料水を大量に用意することにも成功。多くの住民を呼び込むことになり、復興省も地区の運営に関わることになった。こうした事情を説明した後、ロビンはキルコを風呂に入れ、その後服を奪って監禁し、数日にわたってキルコを凌辱する。しかし、数日経ってもキルコが戻らないためマルが施設を訪れ、キルコを救出する。浅草では腕を鳴らしたロビンも異常な格闘能力を持つマルによって一撃で叩きのめされる。その後、ロビンとロビンの部下を含めた4名は失踪する。復興省はロビンたちが施設で人体実験らしきことを行っていた現場を発見する。復興省は任務放棄と重要機密持ち出しの容疑でロビンたちを指名手配し、おそらく奈良に向かったキルコとマルもロビンたちの逃走を幇助したとして手配する(32話/稲崎露敏①-34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②)。

 

先生(猿渡照彦)

キルコが脳移植手術を受けた当時、浅草のロビンの自警団などに出入りしていて、竹早春希から竹早桐子への脳移植を執刀した医師。隠れて人食いの研究や人体実験をやっているという噂が立っていた。額に大きな傷の跡がある(8話/竹早桐子)。キルコの脳移植手術を済ませるとそのまますぐに浅草を後にして行方をくらましている。キルコは旅の途上、ロビンだけではなくこの先生の行方も追っている。キルコが復興省の大濾過装置でロビンと再会すると、ロビンは先生のことを「迫田」と言い及ぶ(32話/稲崎露敏①)。

 

ミクラさん(三倉まなか・ナタ・上仲詩乃)

マルをキルコに託して死亡していった女性。キルコには「天国」へ連れて行ってとだけ伝えてこと切れている。また、光線銃(キルコによれば「キル光線」、ミクラさんによれば「スーパービーム」)を護身用にキルコに託す。その一方でミクラさんはマルに「マルタッチ」によるヒルコの殺し方を伝授していて、これはマルにしかできないからこそ「天国」に行かなければならないとマルに伝えていて、本来はふたりで「天国」を目指していた。また、マルにマルと同じ顔をした人物がもうひとりいるから、その人物にこの薬を打てと、薬入りの注射のキットも託すことになった。ミクラさんはキルコにマルを託すと、そのまま、身体が黒いあざで覆われる病気の症状をみせながら死亡した(7話/トマト天国・14話/タラオ②)。

 

トトリ(ホテル王)

キルコとマルが旅の途上で出会った宿の支配人。ヒルコと同じ形状の心臓のような核を持っている。生まれたのは大災害の2年後で13歳。気が付いた時には自警団に育てられていて、現在は自警団と連携しながら宿泊業を運営している(17話/トトリ)。

 

宇佐美(シロ)

不滅教団を率いる医師とされているが、自身は医師ではない。ビルの発電設備などを利用してパートナーの星尾あかりの延命措置を続けている。星尾はヒルコ化する病気を発症していて、死亡するとヒルコになってしまうため宇佐美はさまざまな機材を使って星尾を延命させている。また、義体を制作できるため、多くの患者や支援者が宇佐美のもとに集まっていて、それが不滅教団と呼ばれている。また不滅教団が根城としているビルの地下駐車場にはヒルコが生息していることで知られている。宇佐美はマルに星尾がヒルコ化する前に「マルタッチ」で殺してほしいと依頼し、星尾を安楽死させる。その後、宇佐美は星尾を抱きかかえたまま自殺する(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・21話/不滅教団④・22話/不滅教団⑤)。

宇佐美は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の奈良施設で生活していた。それまではシロと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「宇佐美」となった(43話/ミクラ②)。

 

星尾あかり(ミミヒメ)

ヒルコ化する病気を発症しながらも、患部を摘出しながら延命を続ける措置でヒルコ化していない女性。パートナーの宇佐美が面倒を看ている。ヒルコと同じ心臓のような核を持っている。四肢と目も失われているが片目は宇佐美から移植されたもの。宇佐美はマルに「マルタッチ」で星尾を殺すように依頼するが、星尾もそれを了解している(20話/不滅教団③・21話/不滅教団④)。

星尾は大災害の前、副園長青島裕子に脱出させられるまでは高原学園の奈良施設で生活していた。それまではミミヒメと呼ばれていた。脱出後、社会復帰するにあたって「星尾あかり」となった(43話/ミクラ②)。

 

ジューイチ

情報屋。かつて「壁の町」と呼ばれる女性支配コミュニティで10年間、「種豚」として飼育され、かつ使役されていた。名前は「種豚11号」という呼称にちなんでいて、肩には「11」の刺青も彫られている。壁の町の女性カップルから頻繁にセックスの相手を命じられ、そのうちのひとりが妊娠して出産するが、男児だったため、その乳児は「種豚」としてコミュニティには受け入れられず、種豚が育てることになる。女性カップルふたりは男児とジューイチとコミュニティからの脱走を図るが発覚し、女性カップルふたりは捕まって絞首刑となる。ジューイチはかろうじて逃げおおせてその後、情報屋として生活している(25話/壁の町①)。

ジューイチは高原学園分室ビルの前で出会ったキルコとマルに、壁の町に息子がいるかどうか潜入して確認してほしいと依頼する。キルコとマルは壁の町が「イバラキ」付近にあることから、いったん様子を見てやれそうならやると請け負う。本当の動機は、その近辺におそらく「天国」と関係する、高原学園の茨城施設があるはずだと踏んでいたからだ。しかし、壁の町は冷気を発するヒルコの根城となっていて、おそらくそこに住んでいた人たちはすべてこのヒルコに食い散らかされたと判明する。その報告をジューイチにしていたところ、偶然、ジューイチとともに壁の町で使役されていたかつての「種豚」の男性らと再会する。元種豚男性たちは共同生活を送っていて、そこにはジューイチの息子、十五もいた。元種豚6号によると、壁の町にヒルコが来襲した夜、十五が激しく夜泣きをしたため、種豚たちは全員目を覚まし、異変に気付いて脱出することができたのだという。息子と再会したジューイチはキルコとマルにこれまで自分が移動に使っていたバンを報酬として譲る。その後、ジューイチは元種豚男性のうちの脱走発覚時の密告者を殺害し、十五だけを連れて元種豚共同体の車を奪って共同生活所から出奔する(26話/壁の町②-29話/壁の町⑤)。

 

十五

ジューイチとかつての壁の町の女性との間に生まれた男児。その後、壁の町で使役されていた元種豚男性たちの共同生活所で育てられていた。しかし、そこにキルコとマルが訪れた夜にすさまじい冷気に共同生活所は覆われ、マルはダイブ(マルタッチ)せずとも十五がヒルコであることを看破する(29話/壁の町⑤)。

おそらく絞首刑になった十五の母親もまたヒルコの心臓のような核を持った人物で、壁の町を襲った冷気のヒルコはその母親が絞首刑で死んだ後、ヒルコ化したものだと思われる。十五の母親とそのパートナーは、高原学園の奈良施設で女子同士でスキンシップと性徴期を深めていたナナキとイワ(11話/クク②)かもしれない。

 

地獄夢(ヘルム、本名: 怜夢)

キルコとマルが旅の途中、浜松付近で出会った女子。6年前に避難所で性暴力を受けたが、その犯人として似たような容貌の男性が捕まり、避難所の掟により、右腕を切り落とされてしまう。しかし、その直後に避難所で真犯人と出くわしてしまい、怜夢は罪の意識から自分の右腕も切り落としてしまう。その後、復讐のために真犯人を探していたが、ちょうどキルコとマルと出会った浜松の近くの空港で真犯人が生活していることを突き止める。キルコとマルの助力をえながら、ヘルムは真犯人に二度と性暴力を働かせないため、義手に仕込んだ小型爆弾で真犯人の股間を吹っ飛ばしてみせる(38話/地獄の夢①-40話/地獄の夢③・45話/地の孤独②)。

 

上仲詩乃(園長)

高原学園園長。地球と小惑星衝突(大災害)を予見し、それに備えるため学園を1995年に設立した。学園を支えるのは地球と小惑星衝突を予想したAIのミーナで、このミーナを使って園長は「完全な免疫を備えた」子供たちを4人から採取した卵子精子を使って生み出す構想を実現させていく。子供たちは学園の規定では「ヒルコ」ということになっている(35話/高原学園①・47話/上仲詩乃)。

さらに学園では戦士としてのヒルコも開発していて、これはテロなどに投入するためだ(41話・お迎えの日)。

政府は小惑星との衝突を避けるためその軌道を変えるロケット迎撃構想を進めているが、学園としては小惑星衝突を実現させたいため、このロケット施設をヒルコ戦士隊に攻撃させ破壊してみせた。しかし、このテロ攻撃については園長やAI開発チーム以外の、青島裕子や猿渡照彦らのスタッフには知らされていない(39話/地獄の夢②・41話/お迎えの日・46話/猿渡照彦)。

このテロ攻撃の結果、学園はテロ組織として政府から追及され、政府から爆撃を受けた後、自衛隊によって制圧されることになる(36話/高原学園②・41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

しかし、猿渡にナタへの自分の脳の移植を命じた園長はナタの身体として自衛隊に保護され、施設からの脱出に成功する。その後、大災害の衝撃のなかで、ナタは園長としての記憶を蘇らせていく(42話/ミクラ・43話/ミクラ②・46話/猿渡照彦)。

 

猿渡照彦(迫田照彦)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長にと目されていたが、青島裕子に先を越されてしまう。しかし、園長からは最大の心腹を置かれている。園長の、いずれ青島の身体に自分の脳を移植させ、さらに将来的にはトキオの子供にまた自分の脳を移植させ、ヒルコたちの活躍を見届けたいという野望に疑問を感じている(30話/園長)。

こうした疑問から猿渡はおそらく、出産したトキオには本当の子供を引き渡さなければならないと決意し、トキオの子供のクローンを生み出したのかもしれない。

いずれにしても、猿渡はトキオの子供の世話を担当していて、出産した時はひとりだったトキオの子供はいつの間にかふたりになっている(35話/高原学園①・37話/高原学園③)。

その後、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、トキオのふたりの子供のうち、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の子供の足の裏に〇印をマーカーで描いて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のない方のあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化してしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう。また、爆撃の際、猿渡は額に大きな傷を負う(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

石化したトキオの身体に巻き込まれた園長の腕がこのままだと壊死して身体に拡がるため、猿渡は両腕の切断手術を緊急でやる必要性を説くが、この時、園長はさらに自分の脳を、爆撃で意識不明になった4期生のナタに移植手術するように猿渡に命令し、この事実は学園幹部の自分の夫(上仲永吉)にも話すなと命じる(46話・猿渡照彦)。

爆撃の後、施設は自衛隊に制圧されるが、猿渡は身を潜め投降せず、同じように身を潜めていた上仲永吉、コナ、トキオ、トキオの子、クク、オーム、ミチカとで施設で潜伏生活を続ける(46話・猿渡照彦)。

爆撃の際、額に負った傷は大きな傷跡として残っている(46話・猿渡照彦)。また、猿渡は母方の姓で本名は迫田である(47話/上仲詩乃)。

 

青島裕子(今永美月)

高原学園奈良施設のスタッフで保健医師。副園長に昇格しているが、施設の子供たちを保護する計画を練っている。施設が爆撃に遭うと、その混乱に応じてその計画を実行に移すことを決意する。施設の外壁が壊れて外部に通じる隙間が出来たことと、生徒5人の点呼が取れていないことを踏まえて施設の外へ捜索に出かけ、外を探索していたミミヒメ、シロ、アンズ、タカの4人を発見し保護する。そのまま青島は4人を施設のある奈良県からボートで脱出させ保護することを決行する(37話/高原学園③・38話/地獄の夢①・39話/地獄の夢②)。

青島裕子は偽名で、本名は今永美月。1995年に設立した学園に出資し続けた今永美咲の娘(47話/上仲詩乃)。

 

アスラ

高原学園奈良施設の1期生。傷を癒したり、テレパシーを使ったり、未来を予測するなど、超常的な能力を持っている。自分が生まれた理由がわかったからと同じ1期生のコナに説明して自殺する。自殺する際、背中から戦士ヒルコのような羽を生やして空中を飛び、学校の施設の天井から首をくくってしまう(23話/アスラ)。

 

コナ

高原学園奈良施設の1期生。アスラの自殺後は唯一の1期生。さまざまな不気味な生物の絵を描いているが(1話/トキオ)、そうした絵の1部が15年後にはヒルコとして実体化していることも判明する(10話/クク①)。その後、トキオと親密になり、トキオの妊娠が判明する(24話/A-mk3)。コナは予知能力がありつつも、アスラやミミヒメのようにイメージや直感として鮮明ではなく、見えるものを絵で表現している。ただ、「アスラを殺したやつがトキオを奪いにくる」とも予感している(23話/アスラ)。

自衛隊の制圧の際には石化状態から回復したトキオとトキオの子供とおそらく身を隠す。

その後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設と島で潜伏生活を送る(46話/猿渡照彦)。

 

トキオ

高原学園奈良施設の2期生。授業で使っているタブレットがバグったことがきっかけで、自分たちの住む学園の壁の外にも世界があるのかどうか気になり始めている(1話/トキオ)。コナと思いを寄せ合っていて、やがてコナとの子を妊娠していることが判明する(24話/A-mk3)。トキオは無事に子供を出産するが(30話/園長)、生んだ時1体だった新生児はしばらくすると2体となっている(35話/高原学園①)。

この2児を学園スタッフの猿渡が面倒を看ているが、学園が政府から爆撃を受けた時の衝撃と混乱で、どちらがどちらかわからなくなってしまう。猿渡はひとまず片方の足の裏に〇印をマーカーで描きつけて、あとで検査すればいいと判断する。あかちゃんは出産後、トキオから引き離されていたが、園長不在時に副園長青島以下のスタッフはあかちゃんをトキオに引き渡すべきだと決断し、2児のうちひとりをトキオに引き渡すことにするが、猿渡の判断で〇印のないあかちゃんをトキオに引き渡すことになる。しかし、爆撃の直前に施設に帰ってきていた園長がその現場に踏み込み、あかちゃんをトキオから取り上げようとする。するとトキオの拒絶反応から身体の表面があかちゃんと一緒に石化して仮死状態に入ってしまい、あかちゃんを取り上げようとしていた園長の腕先まで石化してしまう(36話/高原学園②・37話/高原学園③・38話/地獄の夢①)。

トキオが2日間石化した状態の後、テロ攻撃から離脱し、仲間から光線銃で撃たれて瀕死の状態の戦士ヒルコが施設に舞い戻る。その戦士ヒルコはトキオがククと実験生物を覗きに行った時にトキオに気付いたヒルコで(11話/クク②)、すでに身体の組織のほとんどが崩壊して液状化しながら最期にトキオに向かって「お母さん」とつぶやく。するとトキオの石化状態が解消されて、トキオとあかちゃんが通常の状態に戻る。その一方で戦士ヒルコは完全に液化してしまう(41話/お迎えの日)。

その直後の自衛隊の施設制圧の際、おそらくコナとともに身を隠したトキオとあかちゃんはその後、クク、オーマ、ミチカ、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活に入る(46話/猿渡照彦)。

 

タラオ

2期生。皮膚が黒ずんでいく病気を発症し死亡。黒いあざができて半年くらいで死んでしまう(トキオ談。23話/アスラ)。元気な頃のタラオは運動能力がずば抜けているタカでさえ持ち上げられない石を軽々と持ち上げていた。タラオはトキオに思いを寄せていたが、トキオはコナを好いているので最後にという思いのキスも拒否される。死を覚悟すると、タラオはトキオに「ここは危ないから逃げて」と言い残す(13話/タラオ①)。

タラオの遺灰には心臓のような核(マルがヒルコを殺す時に手で握りつぶしているもの)が残る。タラオの病気について猿渡は「もしもあらゆる免疫を備えて作られた体ゆえに発症したものなら全ての子供達に発症の可能性があります」と語っている(15話/タラオ③)。

 

ミミヒメ(星尾あかり)

2期生。耳が細長く先に毛が生えていて普段は犬のように垂れてほかの頭髪と紛れている。予知能力があり、先の出来事が視覚的に見えることがある。その一方で過去のことも視覚的に見えてくることもある。学園が攻撃された後、自衛隊に制圧され、保護される時のことも予知している(23話/アスラ)。その一方で、その後、自身がヒルコ化する病に冒され、マルに殺されることでヒルコ化から救われることも、夢やイメージでトキオに似た男の子に助けられることになると予知している(1話/トキオ)。

また、コナが将来ヒルコ化した時の姿も視覚として予見している(34話/稲崎露敏③)。

学園が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとシロ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でミミヒメはシロ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したミミヒメは「星尾あかり」として生活を始める(43話/ミクラ②)。

 

シロ(宇佐美)

2期生。ミミヒメに思いを寄せている。機械や電機系や配線系の工作が得意(1話/トキオ)。

学園が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとミミヒメ、タカ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でシロはミミヒメ、タカ、アンズとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したシロは新しい名前をもらっているがあまり気に入っていない(43話/ミクラ②)。後にシロは「宇佐美」と名乗っている(19話/不滅教団②)。

 

アンズ

2期生。踊りの才能が傑出している(15話・タラオ③)。

学園が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとタカ、シロ、アンズと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でアンズはタカ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したアンズは新しい名前をもらっているはずだが詳細は不明。

 

タカ

2期生。異常な身体能力を持っている(1話/トキオ)。

学園が政府に爆撃され、外壁に穴が開くとアンズ、シロ、ミミヒメと敷地の外の森へと探索に出かけ、外の世界を知る(36話/高原学園②・37話/高原学園③)。道に迷っていると青島に救助され、子供たちの保護を計画している青島の引率でタカはアンズ、シロ、ミミヒメとともに施設のある孤島からそのまま船で脱出させられる(39話/地獄の夢②)。

脱出後、社会復帰したタカは新しい名前をもらっていて、おそらく「南方弥刀」というもの(43話/ミクラ②)。

 

クク

3期生の生徒で俊敏で壁を這い上がれる能力を持つ。その能力でトキオを連れて学園内の立ち入り禁止区域にダクトから潜入し、実験生物(戦士ヒルコ)の「あかちゃん」をトキオに見せる(11話/クク②)。

自衛隊による施設制圧時にミチカとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡照彦、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ククはミチカとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。しかし、旅の途上でククは肌が黒ずんでいく病気を発症し、死んだら海に身体を流してほしいと語る(48話/復興省)。

両性具有である(45話/地の孤独②)。

 

ミチカ(竹塚)

3期生。クク同様に異常な身体能力を誇る。自衛隊による施設制圧時にククとオームとで身を隠し、様子を見ることにする(41話/お迎えの日)。そのまま、コナ、トキオ、トキオの子、猿渡、上仲永吉とともに施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、ミチカはククとオームとでミミヒメを探しに旅に出ている。ミチカはヒルコと戦うのを生き甲斐にしているが、大きなヒルコについてはククと一緒でないと勝てないと認識している(48話/復興省)。

その後、ヒルコと戦うのが好きな用心棒、「竹塚」として復興省で働いていて、ロビンの一味及びキルコとマルの身柄確保の依頼を受けて捜索に乗り出す(34話/稲崎露敏③・45話/地の孤独②)。

子供の頃の描写では男の子のようだが、両性具有で乳房もある(45話/地の孤独②)。

 

ナタ(三倉まなか・上仲詩乃)

4期生。施設が爆撃を受けた際、頭部に損傷を受け、意識不明となる(41話/お迎えの日)。

石化したトキオの身体に腕を巻き込まれた園長は猿渡に腕の切断手術を緊急でやらないと身体が壊死していくと告げられるが、その際、園長はさらに自分の脳をナタに移植手術するように命令する(46話/猿渡照彦)。

手術後のナタの身体とベッドは、自衛隊が施設を制圧した後に運び出され、豊中の病院へと移されていく。意識が戻るとナタは、同期生で保護されたマコとサクヤに何度も見舞われるがかつての自分の記憶を思い出すことができない。また、3人にはそれぞれに三倉まなか、堀さちお、八坂なのはという新しい名前も行政側から与えられる。しかし、新たに大災害の大地震に襲われるなかで、マコ(堀さちお)が置いていったリュックの中から光線銃の「スーパービーム」を見つけ、それをきっかけにナタは、園長(上仲詩乃)としての記憶を回復していく(42話/ミクラ①・43話/ミクラ②)。

園長の記憶が戻った「三倉」は大災害後の現状がまったく想定していた状況と違っていることに焦りながら、「さちお」と「なのは」を従えつつ、善処を図るため高原学園のAI、ミーナへのアクセスを試みる。最寄りの高原学園の分所で、ようやくミーナとのアクセスに成功するが、大災害の余波の地震でそれも失われてしまう。その後、三倉はさちおとなのはの3人でさまざまな店に押し入っては物品を収奪し、学園分所に集積させていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

マコ(堀さちお)

4期生。ナタと親しかった。高原学園の奈良施設が爆撃された後、手術を受けたナタの様子を見に行くと施設に舞い戻った瀕死の戦士ヒルコを目撃し、その戦士が落とした光線銃を拾う。マコはこれを自分のリュックにしまう。その直後に施設は自衛隊に制圧され、マコは身を隠しながらこのリュックを隠す。その後、昏睡状態のナタの身柄を自衛隊が保護すると、マコも自衛隊の指示に従って身柄を預け、サクヤなどそのほかの子供たちとともに保護される。マコのリュックは施設からの退避の際、ナタの持ち物としてナタと一緒に移動させられる。豊中で保護されてからナタとマコとサクヤはそれぞれに「三倉まなか」「堀さちお」「八坂なのは」と行政から新しい名前をもらう(41話/お迎えの日・42話/ミクラ①)。

意識の戻った「三倉」が、実は移植されていた園長(上仲詩乃)の脳の記憶を回復してからは(43話/ミクラ②)、「さちお」は「なのは」とともにナタの行動に従っていく(47話/上仲詩乃・48話/復興省)。

 

オーマ

5期生。相手に幻覚を見させる力を持っていてその力を抑えるために特殊な眼鏡をかけている(31話/オーマ)。この自分の危険な能力との付き合い方を模索してくれたミミヒメのことを深く慕っている(34話・稲崎露敏③)。

施設が自衛隊に制圧されると、オーマはククやミチカに促され身を潜め、様子を窺うことにする(41話/お迎えの日)。

そのまま3人はコナ、トキオ、トキオの子供と猿渡、上仲永吉と施設で潜伏生活を続ける(46話/猿渡照彦)。

大災害後、オーマはククとミチカとミミヒメを探しに旅に出ている。自分にちょっかいを出す人間は幻覚術で撃退しているが、オーマの能力はククやミチカによると人間には無敵だがヒルコ向きではないという(48話/復興省)。

両性具有である(45話/地の孤独②)。

星尾あかり(ミミヒメ)が最後に息を引き取る不滅教団の地下駐車場に棲みついているヒルコはその身体の文様からしてオーマの成れの果てだ(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③・22話/不滅教団⑤)。

ヒルコ化した後もオーマは人に幻覚を見させる力を発揮している(19話/不滅教団②・20話/不滅教団③)。